研究課題/領域番号 |
19K01026
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分03030:アジア史およびアフリカ史関連
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研究機関 | 明治大学 |
研究代表者 |
江川 ひかり 明治大学, 文学部, 専任教授 (70319490)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
3,770千円 (直接経費: 2,900千円、間接経費: 870千円)
2021年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2020年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2019年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | オスマン演劇 / 祝祭 / 暦 / 大衆文化 / イスタンブル / オスマン帝国 / ラマダン(断食月) / カント(歌) / 近代演劇 / 都市社会 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、19世紀末・20世紀初頭オスマン帝国の都イスタンブルにおいて近代演劇が果たした政治的・社会的役割を、同時代の演劇ポスター(東京外国語大学アジア・アフリカ言語文化研究所所蔵)と公文書史料とに基づいて解明することを目的とする。とくに近代演劇興行を通して見えてきた演劇と政治との関わりおよび演劇と大衆生活との関わりを政治文化史・イスタンブル都市生活史の観点から考察し、演劇が帝国と大衆とを結びつける装置として機能したことを明かにする。 本研究をすすめる主たるメンバーは、申請者江川ひかりおよび研究協力者永田雄三(公益財団法人東洋文庫研究員)、奥美穂子(明治大学研究知財戦略機構研究推進員)である。
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研究成果の概要 |
19世紀後半から20世紀初頭にかけてオスマン帝国の都、国際都市イスタンブルにおける近代演劇は、19世紀後半に政府から上演権を取得したアルメニア人演劇人によって発展した。当初の公演は一演目もしくは主・副演目から構成された。20世紀初頭になると、公演は、演劇のみならずカント(歌)とダンス、影絵芝居、シネマトグラフなど複数の演目から構成される寄席演芸形式の興行となった。グローバル化と連動した消費主義が押し寄せ、演劇ポスターに掲載された舶来品の広告が大衆を消費に誘った。バルカン戦争以降の演劇興行は、大衆に挙国一致、慈善募金をよびかけ、あるいは戦勝の祝祭空間を提供する国家の装置と化した。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
日本でオスマン近代演劇に関する現地語史料を用いた研究は皆無であった。この研究分野を開拓した永田雄三と江川ひかりとの共著『世紀末イスタンブルの演劇空間―都市社会史の視点から』(白帝社, 2015)を基礎に、トルコ語読者向けに加筆・修正後2021年にトルコ語で研究書を出版したことは、演劇学・都市社会史研究に極めて重要な学術的意義をもたらした。トルコ人による本書の書評では、日本人研究者が、オスマン演劇ポスターを解読し、都市社会史という視点から日本演劇と比較・対照しつつ考察した点が高く評価された。基礎史料として用いた演劇ポスター170点の基本情報をデータベース化し、研究成果として発信している。
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