研究課題/領域番号 |
19K01047
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分03040:ヨーロッパ史およびアメリカ史関連
|
研究機関 | 北海道教育大学 |
研究代表者 |
津田 拓郎 北海道教育大学, 教育学部, 准教授 (70568469)
|
研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
|
研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2023年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2022年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2021年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2020年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2019年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
|
キーワード | カピトゥラリア / 勅令 / フランク王国 / シャルルマーニュ / 神話化 / カール大帝 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、「フランク君主の勅令」であると(誤って)考えられてきた「カピトゥラリア」について、そもそも同時代の類型概念ではなかった「カピトゥラリア」がいかなる過程で1つの文書類型と見なされ、「勅令」とみなされるようになり、そうした理解が定着してしまったのかを考察する。主たる分析対象は、「カピトゥラリア」に関係する中・近世の写本・刊本、近・現代の研究文献・概説書・教科書であり、分析概念と同時代概念の混同と、その影響から誤った歴史像が生み出され定着していく過程を明らかにすることを目指す。本研究の成果は、現在刊行準備が進められている「カピトゥラリア」の新版のあり方に大きな影響を及ぼすこととなろう。
|
研究成果の概要 |
フランク王国史の重要史料とされる「カピトゥラリア」は、長年「君主の勅令」であると見なされていたが、近年の研究では「カピトゥラリア」には極めて雑多な文書が含まれていることが明らかにされている。ではなぜ「カピトゥラリア」が「君主の勅令」であるという理解(誤解)が生じてしまったのだろうか。本研究では、フランク王国時代から近代歴史学の成立時期までの「カピトゥラリア」およびそれらの文書群を指す用語法を分析し、「カピトゥラリア」=「君主の勅令」というイメージが、カロリング期後期の一部の写本及び近世の人文主義者の刊本によって構築されたものであることを明らかにした。
|
研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究の成果により、フランク王国の君主が大量の「勅令」を発布して統治を行っていたというイメージが虚像に過ぎないことが明らかになり、当時の統治慣行についての大きな見直しの必要性が示唆された。また、本研究により、われわれの行ってきた歴史研究が、後代に構築された類型概念に基づいて進められていたことが明らかになったことで、「カピトゥラリア」の分野を超えて、現在の中世史研究において自明視されている分析概念についても、その成立過程を丹念に考察し直すことが、既存の歴史像の大きな見直しに結びつきうるということが明らかになった。
|