研究課題/領域番号 |
19K01051
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分03040:ヨーロッパ史およびアメリカ史関連
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
池田 嘉郎 東京大学, 大学院人文社会系研究科(文学部), 准教授 (80449420)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2021年度)
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配分額 *注記 |
2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
2021年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2020年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2019年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
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キーワード | ロシア史 / ソ連 / 身体 / 第一次世界大戦 / セクシュアリティ / ソ連史 / 医療 / ナショナリズム / 帝国 / サナトリウム |
研究開始時の研究の概要 |
第一次世界大戦からロシア革命を経てスターリン体制の成立にいたる20世紀ロシア史の社会変動を、身体の経験から検討する。当該期の社会変動は、人間生活の基本的な単位である身体において、個々人に直接に関わる形で受け止められた。本研究は身体の経験(身体はどう観念され、どう扱われたか)という視座から、日常性のレベルの変動と、国家・社会全体に関わるレベルの変動とを統合的に把握する。同時に、当該期における社会変動の巨大さにもかかわらず、旧来の政治・社会構造の諸要素が持続し、再生産されたことについても、身体の経験という視座から統合的に理解する。具体的には、労働・医療・モラルという三つの分野に焦点を当てる。
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研究成果の概要 |
身体のありようは、社会や文化、それに時代によって異なるものである。同時にまた身体のありようは、人間生活の基幹をなすものとして、当該社会の特徴を集約的に現す。本研究では第一次世界大戦期から1930年代という、近代から現代への転換をなす時期のロシアにおける身体のありようを、労働・医療・モラルという切り口から検討した。その結果、ロシアにおいては、国家と社会の両者が不分明なままに、個人の身体に働きかける傾向が顕著に見られることを明らかにした。具体的には、第一次世界大戦からロシア革命期にかけての医療衛生、また1920年代から30年代の性規範について、とくにそのことが指摘できた。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
今日、ロシアは国際規範を無視して、ウクライナに対して戦争を行なっている。ロシア軍はウクライナ市民・兵士、さらには自国兵士をも過酷に扱っている。われわれはロシアの行為を野蛮とするだけではなく、その行動を支える価値体系を身体観の次元から検討すべきである。そのときはじめてロシアの行動を支える論理が明らかになる。本研究は20世紀前半のロシアで、一個の市民としての身体の自立性が、国家=社会との明確な境界線をもたなかったことを解明した。現代ロシアの前提が当該期にある以上、本稿の研究は現代ロシアの国家・社会・市民の関係、そしてとくにロシア社会にとっての戦争や兵士の位置づけを考える上で大きな意義をもつ。
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