研究課題/領域番号 |
19K01053
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分03040:ヨーロッパ史およびアメリカ史関連
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研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
根津 由喜夫 金沢大学, 人文学系, 教授 (50202247)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2021年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2020年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2019年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
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キーワード | ビザンツ / アドリア海 / 中世イタリア / 南イタリア / 中世地中海世界 |
研究開始時の研究の概要 |
今回の研究の出発点は、アドリア海北東岸ダルマティア地方や西地中海のサルディニア島など、ほとんどビザンツの支配が及んでいない遠隔地域の住民が、ビザンツの宗主権下にあることを主張し、皇帝の臣民としての地位を誇る態度を示していたことを不思議に思い、その要因を追求する必要があると思い至った点にある。ビザンツ帝国が自らの周囲に友好な勢力の圏域を構築するのに活用した、軍事力でも経済力でもないある種の「ソフトパワー」とはいかなるものであったのか、その実像を探求するために、現存する考古学的遺物(墓地の副葬品であった武器や工芸品、古銭など)、教会壁画などの美術資料も積極的に活用しつつ考察を進めていく計画である。
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研究成果の概要 |
今回の研究の課題は、ほとんどビザンツの支配が及んでいない遠隔地域の住民が、ビザンツの宗主権下にあることを主張し、皇帝の臣民としての地位を誇る態度を示した理由を究明することにあった。コロナ禍の影響で当初の調査プランは一部、変更を余儀なくされ、調査はほぼイタリア本土に集中することになったが、イタリアのトスカーナ、カンパーニア、プーリア、カラブリアなどの地域において2度の調査活動を実施することができた。現地に残る歴史的建造物や絵画・美術工芸品などの視覚的資料を実地に見聞し、文献を読み解くだけでは体得できなかったイタリアにおける「ビザンツ的なるもの」の片鱗を感じることができたことは大きな収穫であった。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
今回の研究の最大の学術的意義は、文献調査だけではなかなか十分に解明しきれないイタリア各地に残る「ビザンツ的なるもの」の痕跡を、現地調査を通じて積極的に探求したことである。それらは必ずしも明示的なものではなく、またどこまで当時のそれらの造形者がビザンツ性を意識していたかすら明らかでないものも少なくないが、それだけいっそう中世イタリアの人々の心の奥底に「ビザンツ的なるもの」が深く刻まれていたことを窺わせるものになっている。こうした事象は、異国の魅力的な文化が現地の人々の心を感化させた例として、時や空間を越え、様々な異文化交流の歴史を考察するにあたって、貴重な参照系を提供するものと言えるだろう。
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