研究課題/領域番号 |
19K01054
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分03040:ヨーロッパ史およびアメリカ史関連
|
研究機関 | 奈良女子大学 (2022-2023) 信州大学 (2019-2021) |
研究代表者 |
木村 容子 奈良女子大学, 人文科学系, 准教授 (10636997)
|
研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2025-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2022年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2021年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2020年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2019年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
|
キーワード | 西洋史 / 中世史 / イタリア史 / 托鉢修道会 / 説教 / 説教写本 / 中世ヨーロッパ / 写本と印刷本 / イタリア / ヨーロッパ中世史 / イタリア中世史 / インテレクチュアル・ヒストリー |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、説教が作成される過程を、托鉢修道会間の知的交流に注目して検討するものである。フランシスコ会とドミニコ会、そしてアウグスティヌス隠修士会を主たる考察対象として、複数の修道会の説教が混在する写本を調査・分析する。説教を準備する説教師たちが、異なる修道会の著作をどのように互いに参照しあっていたのか、托鉢修道会間のネットワークと知的交流の実態解明を目指す。
|
研究実績の概要 |
本研究が目指すのは、中世末期イタリアにおいて説教が作成される過程を、托鉢修道会間の知的交流に注目して明らかにすることである。これまで報告者は、異なる托鉢修道会の説教が混在する未刊行写本に焦点を当て、さらに初期印刷本も検討対象に含めて研究を進めてきた。その結果、イタリアの著名説教師の説教が、修道会の壁を越えて、そしてイタリアという地域を越えてドイツ語圏をはじめとするヨーロッパにおいて、いわば「共有財産」として、説教の作成過程において柔軟に参照されていた実態の一端を明らかとした。 2023年度は、本研究のテーマである托鉢修道会の知的交流について、新たな角度から研究を進めた。フランチェスコ会とドミニコ会は、托鉢修道会のなかでも二大托鉢修道会といわれ、何かと比較されることも多い。しかし報告者の主たる対象とする15世紀イタリアに関しては、ドミニコ会のジローラモ・サヴォナローラのような例外はあるものの、先行研究は15世紀に隆盛を極めたフランチェスコ会(厳修派)に圧倒的に偏っているのが現状であり、報告者はそうした研究上の偏りについて問題を感じていたため、ドミニコ会の事例を重点的に扱い、ドミニコ会の視点から本研究テーマを深化させることを目指した。そのために報告者は、サヴォナローラと同時期にフィレンツェで活動したドミニコ会説教師マルコ・ディ・ピエトロ・スッキエッリの説教集(未刊行写本)を検討した。当該説教集については、報告者は2019年に国際中世学会(リーズ大学)で研究成果の一部を口頭発表したが、その成果も含め、2023年度はさらに精緻に分析を試み、論文を執筆した。本論文は托鉢修道会間の知的交流について多様なあり様を浮かび上がらせるという点で有意義であり、国際的な学会雑誌に投稿予定である。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
研究発表と史料調査のためのヨーロッパへの渡航がかなわなかった点、論文の投稿が次年度になる点において、やや遅れている。しかし、上記概要欄で述べたように本研究そのものは確実に進展している。
|
今後の研究の推進方策 |
上記のように渡欧がかなわなかったため、科学研究費助成事業の補助事業期間の延長を申請して承認された。そのため、次年度が本研究の最終年度である。ヨーロッパに出張し、これまでの自らの研究成果を発表し、現地研究者との意見交換をおこない、さらに史料調査を実施予定である。
|