研究課題/領域番号 |
19K01063
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分03040:ヨーロッパ史およびアメリカ史関連
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研究機関 | 中央大学 |
研究代表者 |
鈴木 直志 中央大学, 文学部, 教授 (90301613)
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研究分担者 |
丸畠 宏太 敬和学園大学, 人文学部, 教授 (20202335)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
2,730千円 (直接経費: 2,100千円、間接経費: 630千円)
2021年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2020年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2019年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
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キーワード | 軍事扶助 / プロイセン軍 / ドイツ史 / 傷痍兵 / 近代化 / 近代史 / 軍隊と都市 / 傷痍軍人 / 軍事史 / プロイセン |
研究開始時の研究の概要 |
軍隊の近代化という場合、ふつう銃火器の発達や徴兵制度など純軍事的な事柄が想定されるが、それに尽きるわけでは決してない。社会集団として軍隊を理解する広義の軍事史が確立した今、軍隊の近代化は軍事扶助-傷痍兵、老年兵や彼らの家族の扶養-の観点からも考察されねばならない。軍事扶助が「君主の恩寵」から「国家の責務」へと変化するのは、君主の私兵であった近世軍隊がまさしく近代化し、国家化する過程に他ならないからである。本研究では18世紀後半から19世紀後半のプロイセン・ドイツ軍を対象に、この軍事扶助の制度的変遷を跡づけるとともに、傷痍兵たちの生活と制度運営の実態を、具体的な駐屯都市に焦点を当てて考察する。
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研究成果の概要 |
プロイセン軍隊の近代化を軍事扶助事業の観点から考察した場合、プロイセン軍制改革はその始点ではなく、18世紀末から始まる近代化過程の、一つの重要な画期として位置づけられる。軍制改革はたしかに、絶対主義時代とは異なる兵士像を提示し、君主の恩寵として与えられていた軍事扶助が国家の義務へ変化する大きな転機になった。しかし、その先駆は将校寡婦のための基金などの、1770年代以降のいくつかの改革に見られる。改革期を先取りする構想がそれ以前に打ち出されたり、改革前に実施された施策が改革後も生き残る事例は、軍事扶助事業に限った話ではない。それはプロイセン軍制改革、ひいては改革全体に共通する現象である。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
軍事扶助事業--傷痍兵や老年兵、さらには彼らの家族の扶養--の歴史は、広義の軍事史における重要テーマの一つをなすが、今日的関心を満たす研究は皆無に等しい状況である。18世紀末から19世紀のプロイセン軍を対象に、軍事扶助事業と近代化の関連性を解明した本研究は、その意味で先駆的な意味を持ったと自負しうる。今後、軍事史に限らず、広く社会福祉の歴史にも接続することによって、本研究の社会的意義をさらに高めることができよう。また、他のヨーロッパ諸国や日本における軍事扶助事業とプロイセンのそれとは十分に比較可能であることが分かったが、現時点ではまだ当該テーマの歴史研究を促す刺激を与えるにとどまった。
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