研究課題/領域番号 |
19K01064
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分03040:ヨーロッパ史およびアメリカ史関連
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研究機関 | 東海大学 |
研究代表者 |
飯尾 唯紀 東海大学, 文化社会学部, 教授 (80431352)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2022年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2021年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2020年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2019年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
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キーワード | 宗派取次 / プロテスタント / ハプスブルク / 複合国家 / 宗派化 / ハンガリー / 改革派教会 / 地域統合 / 政教関係 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、18世紀ウィーンの「宗派取次」の実態解明を通じて、近世ハプスブルク君主国における統治の凝集化の力学を描くことを目的とする。 本研究が分析対象とする「宗派取次」は、ハンガリーやトランシルヴァニアのプロテスタントが要請し、嘆願処理のために教区の費用でウィーンに置かれた役職である。王権側もこの新しい制度を積極的に利用して教区との交渉を試みた。「宗派取次」の実証研究は未だほとんど行われていないが、その制度的基盤の確立過程と実際の活動を分析することで、宗派組織を軸にハプスブルク君主国の中央と地方の関わり、その変容を明らかにできると考えられる。
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研究成果の概要 |
本研究では、18世紀初頭のハプスブルク君主国で生まれた「宗派取次」制度の実態解明に取り組んだ。本制度は、ハンガリーのプロテスタント(改革派教会、福音派教会)が宗教問題に関する中央政庁への嘆願提出のためにウィーン及びブラチスラヴァに置いた出先機関である。複合国家としてのハプスブルク君主国の統治のあり方を考えるうえで重要と考えられるが、これまでほとんど研究がなかった。研究期間内には、一次史料を体系的に収集し、その実像を再構成する作業に費やされた。その結果、史料の体系的収集を完了できたが、制度形成期のモノグラフ作成という目標は期間内に達成できず、個別の研究成果を順次発表していく作業が残った。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究成果の学術的意義は、第一に、「宗派取次」というハプスブルク君主国史やハンガリー史の研究史上ほとんど顧みられてこなかった制度を具体的に明らかにしたことである。未公刊史料の体系的な収集の結果、取次役の人物プロフィールと活動実態、教会との関わりなど、これまで知られていない事実を明らかにすることができた。第二に、「宗派取次」の制度を君主国の宗派政策の中に位置づけ、近世の統治の特質把握に新たな視点を提供した点である。第三に、「宗派取次」という役職を通じてプロテスタント教会のネットワークや教会と有力貴族の結びつきについても新たな知見を加えることができた。
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