英仏の歴史に多大な影響を及ぼした百年戦争はなぜ長期化したのか。この問題は従来、英大陸所領の存在や仏王位継承など、戦争の原因解明を通じて考察されてきた。これに対し、戦争終盤において、平和条約が締結されないまま、なぜ戦闘のみが停止したのかは問われることない。終戦のプロセスについては未解明な点が多い。 本研究では、戦場となったフランス諸地方を治めた諸侯達が、平和交渉を含む戦争終盤の展開にどのような利害を持ち、いかに関与したのかの検討を通じて、終戦メカニズムを解明する。この研究は、百年戦争の終息過程を、英仏王家の二項対立を超えて諸侯層を含めた多面的な対立構造の観点から捉える可能性を開くものである。
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