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都市の選択:15世紀スイスの地域の権力構造とハプスブルク家の影響力

研究課題

研究課題/領域番号 19K01075
研究種目

基盤研究(C)

配分区分基金
応募区分一般
審査区分 小区分03040:ヨーロッパ史およびアメリカ史関連
研究機関金沢大学

研究代表者

田中 俊之  金沢大学, 人文学系, 教授 (00303248)

研究期間 (年度) 2019-04-01 – 2025-03-31
研究課題ステータス 交付 (2023年度)
配分額 *注記
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2022年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2021年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2020年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2019年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
キーワードスイス盟約者団 / ハプスブルク家 / 森林諸邦 / 帝国直属 / ヴィッテルスバハ家 / ラインフェルデン / 永久同盟 / 原初三邦 / ザンクト・ゴットハルト峠 / ロジェ・サブロニエ / 体僕 / バーゼル / ヴィスコンティ家 / ベルン / ソロトゥルン / 盟約者団 / 都市 / 権力構造
研究開始時の研究の概要

スイスの歴史をハプスブルク家による支配からの解放・独立の歴史として捉える見方は今なお根強い。しかし近年の研究はそうした見方から離れ、ハプスブルク家との関係を見直すことによって新しいスイス史像を構築しようという方向を模索しつつある。
本研究は、そうした新しい研究動向を押さえながら、スイスの都市ラインフェルデンの動向に着目し、ハプスブルク家や近隣諸都市を含む地域の権力構造との関係に目を向けることによって、新たなスイス史像を描き出そうとするものである。

研究実績の概要

盟約者団国家スイスの国家形成のあり方について、いわゆる定説におけるスイス中央山岳地域の森林諸邦(原初三邦)を中心とした同心円状の同盟ネットワークの拡大を盟約者団国家形成のプロセスと見る見方は、封建貴族vs.農民・市民という対ハプスブルク闘争史観を前提としていたと言ってよい。このことがフランスとイギリス、ドイツとイタリアとは異なる第3の国家形成の形を成したとしてスイスの独自性を際立たせていたのである。しかし近年のスイス史理解が、長らく所与の前提であった対ハプスブルク闘争史観を相対化しようとする方向に進みつつあることをふまえるならば、その前提を切り崩すことによって新しいスイス史像を描き出す可能性が生まれるはずである。
本研究の当初の研究テーマはその一環として、スイス北西部の都市ラインフェルデンの15世紀における動向分析から目的に接近しようとしたが、コロナ禍期間中の海外渡航が叶わず、2023年夏にようやく渡航が叶い、アーラウの公文書館を訪問することができた。依然わからないのは、15世紀後半、スイス北西部近隣の周辺主要都市がスイス盟約者団への加入の構えを見せるなかで、なぜラインフェルデンだけはハプスブルク家への臣従を誓ったのかという点であった。この点はアーラウ文書館員への直接の問いかけによっても判然とせず、有効な史料へのアクセスにも至らなかった。
他方、代替テーマとして設定した森林諸邦の同盟締結に向けての動向については、旧来の「永久同盟」(1291年8月1日)、「ブルンネン(モルガルテン)同盟」(1315年12月9日)のいずれもが近代的自由と対ハプスブルク闘争史観による解釈に基づいているとの思いを強くし、1330年代までの森林諸邦、ハプスブルク家、王権(ヴィッテルスバハ家)の動向分析を行うなかから、森林諸邦の「帝国直属」の地位への固執という観点が切り口になりうるとの見通しを得た。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

本来設定したスイス北西部の都市ラインフェルデンとハプスブルク家の関係についての分析の遅れは、コロナ禍のため2020年から2022年にかけて、従来のような海外渡航による文書館史料調査を行うことができなかったことによる。
しかし不測の事態に備えて並走させていた初期盟約者団形成に関する課題に取り組むことにより、「地域の権力関係」および「王権との関係」へのアプローチにヒントが得られた点、その観点を活かした英語による国際学会での発表は収穫であった。とはいえ、本来の課題の達成には挽回が急がれる現状である。

今後の研究の推進方策

本来のテーマである都市ラインフェルデンの動向分析については、決定的史料に欠けるなか、北西スイスの周辺諸都市(ベルン、バーゼル、ソロトゥルン等)の動向および15世紀後半におけるハプスブルク家の動向からの間接的動向分析も視野に何らかの見通しを得るべく努力を重ねる。
代替テーマであるスイス盟約者団形成プロセスについては、伝統的歴史観に基づくスイス史像への疑問がますます膨らむなかで得られた「帝国直属」の地位への固執という観点から、自身の研究の発展につながるより明確な輪郭を得られるよう努力したい。

報告書

(5件)
  • 2023 実施状況報告書
  • 2022 実施状況報告書
  • 2021 実施状況報告書
  • 2020 実施状況報告書
  • 2019 実施状況報告書
  • 研究成果

    (5件)

すべて 2024 2023 2022 2021 2020

すべて 雑誌論文 (2件) (うちオープンアクセス 2件) 学会発表 (2件) (うち国際学会 1件) 図書 (1件)

  • [雑誌論文] The Everlasting League of 1291 in Switzerland as a Defense against the Habsburg? : Recent Perspective and the Process of its Formation2023

    • 著者名/発表者名
      Toshiyuki Tanaka
    • 雑誌名

      金沢大学歴史言語文化学系論集[史学・考古学篇]

      巻: 15 ページ: 47-63

    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
    • オープンアクセス
  • [雑誌論文] スイス北西部の体僕制をめぐる都市・領主間紛争(1465年)―往復書簡の再読と再活字化―2022

    • 著者名/発表者名
      田中俊之
    • 雑誌名

      金沢大学歴史言語文化学系論集[史学・考古学篇]

      巻: 14 ページ: 19-62

    • 関連する報告書
      2021 実施状況報告書
    • オープンアクセス
  • [学会発表] The Grant of the Status of Territories under the Emperor's Jurisdiction to the Communities of the Alpine Valleys of Switzerland2024

    • 著者名/発表者名
      Toshiyuki Tanaka
    • 学会等名
      International Conference : Spatial and Social Mobilities in the Medieval and Early Modern Alpine Regions: Political, Religious, and Social Dynamics in Boundary Areas
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 国際学会
  • [学会発表] 敵はハプスブルクか? ―スイス盟約者団形成初期史への視角―2020

    • 著者名/発表者名
      田中俊之
    • 学会等名
      金沢大学ボトムアップ型研究課題成果報告会
    • 関連する報告書
      2019 実施状況報告書
  • [図書] 中近世ヨーロッパ史のフロンティア2021

    • 著者名/発表者名
      髙田京比子、田中俊之、轟木広太郎、中村敦子、小林功(編著)
    • 総ページ数
      488
    • 出版者
      昭和堂
    • ISBN
      9784812221112
    • 関連する報告書
      2021 実施状況報告書

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公開日: 2019-04-18   更新日: 2024-12-25  

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