研究課題/領域番号 |
19K01079
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分03040:ヨーロッパ史およびアメリカ史関連
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
河合 信晴 広島大学, 人間社会科学研究科(総), 准教授 (20720428)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2022年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2021年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2020年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2019年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 東ドイツ / 住宅政策・住宅問題 / 都市問題 / 公共圏 / ロストック / 請願 / 不足経済 / 社会政策 / 住宅政策 / 都市開発 / 住宅 / 都市計画 / 「公共空間」 / 戦後ドイツ / 政治社会史 |
研究開始時の研究の概要 |
東ドイツの社会主義体制が崩壊して以降30年間、この国の社会は体制によって一方的に抑圧されていたといわれてきた。だとすれば、抑圧されていながら、どうして、1989年に人びとは街頭に出て抗議の声をあげ、社会主義体制は崩壊したのだろうか。この疑問に答えるヒントは、東ドイツにおいて日常生活が持っていた政治の意味を検討することによって得られる。本研究は、この国において最も深刻な社会問題として受け止められていた住宅事情について、特に70年代以降のロストック市に着目して、日常生活での不満が体制の安定を侵食したことを明らかにする。そして、東ドイツ独自の「公共空間」の存在を問う。
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研究成果の概要 |
本研究は1970年代から80年代にかけての東ドイツの住宅政策とそれに関係して生じた社会問題を、とりわけロストック市に即して検討した。この時期の住宅政策は、プレハブ工法による画一的な住宅をより多く供給しようとしたものであったが、それに対して、住民の要望はそれぞれが置かれた家庭状況を踏まえて多様なものであり、それに行政が十分に対応できなかった点に問題があった。 ただこのような不満があるなかでも、請願を通じて住民は行政に対して不満を述べつつも、具体的な提案をすることで政治への参加意識を維持していた。ここに西側とは違う形での「公共圏」が存在していることがわかった。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究の学術的意義は、東ドイツの1970年代以降の住宅政策とその状況、そして行政と人びとをつなぐ政治回路の機能状況を提示したことから、人びと相互、政府と人びとの間に生まれる「公共性」には多様性があることを提示できた点にある。また、これまでの住宅史研究の文脈においては、第二次大戦後、東側の住宅政策・問題の実態の一端を解明することに寄与した。 また社会的意義は、1970年代以降の現代世界にあっては、東西世界を問わず一人一人の生活の「質」が問題となっている点を示し、社会問題を考える際には大衆化時代から次の段階に移行していることを考慮する必要があるという問題提起をしている点に求められる。
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