研究課題/領域番号 |
19K01083
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分03040:ヨーロッパ史およびアメリカ史関連
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
舟橋 倫子 慶應義塾大学, 文学部(三田), 講師(非常勤) (70407154)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2021年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2020年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2019年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | 中世都市 / 女子修道院 / 十分の一税 / 都市と農村 / 小教区教会 / 養魚 / シトー会修道院 / ブリュッセル / 危機 / 食料供給 / 湿地開発 / 淡水魚 / 食糧 / 救貧 / ヨーロッパ中世 / 食糧危機 / 疫病 / 麦角病 / ライムギ / 中世 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は13世紀の女子修道院の未刊行文書史料の分析から、都市周辺の3つの女子修道院が都市ブリュッセルの形成過程において果たした役割を具体的に読み解こうとする試みである。特に、女子の宗教機関がその特徴である柔軟性によって多様な社会層の結節点として機能していたことを重視する。これらがベギンや托鉢修道会の女子修道院の先駆あるいは類似現象である可能性にも着目して、13世紀の都市の発展と女子修道院という二つの新しい芽生えが相互に結びついてゆく様を具体的に検証し、多様なネットワークの結合による新たな都市社会像を提示する。
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研究成果の概要 |
13世紀の都市ブリュッセルは、急激な経済発展に起因する対立と矛盾の絶え間ない調整の渦中にあった。本研究は、聖俗の多様な人々を修道院空間に包括する共同体として都市近隣に新たに設置された3か所の女子修道院に焦点をあて、これらの活動を重要な構成要素としていた中世都市の特質を検証した。女子修道院は周辺の低湿地を活用した養魚によって都市の食糧需要を支え、恒常的な人口流入による小教区教会の再編の中で、都市の在俗聖職者との妥協点を探りながら、在地有力者から多数の十分の一税収得地を集積して所領を形成した。様々な要素を包含してゆく女子修道院の所領経営を軸として、都市と周辺社会の再構築が進行していったと考える。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
近年のジェンダー史への関心から、中世都市において聖と俗の狭間で活躍した「敬虔な女性達」が脚光を浴びているが、本研究では、都市に隣接して創設された、所領経営に基盤を置く伝統的な女子修道院もまた中世都市世界を読み解く多様な可能性を持っていることを明らかにした。 恒常的な人口流入と、都市と農村の経済発展のギャップによって引き起こされる危機的状況化で進行する地域社会の再編と新たな秩序形成において、女子修道院が果たした機能の実態を解明し、その基盤にある社会的・経済的・宗教的コンテクストを読み取る試みによって、ほぼ未開拓であったブリュッセル初期史にアプローチした点が独創的であったと考える。
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