研究課題/領域番号 |
19K01085
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分03040:ヨーロッパ史およびアメリカ史関連
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研究機関 | 中央大学 |
研究代表者 |
石橋 悠人 中央大学, 文学部, 教授 (90724196)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2022年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2021年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2020年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2019年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | グリニッジ天文台 / 経度 / 標準時 / 文書管理 / アーカイブズ / イギリス帝国 / 時間意識 / 時間の標準化 / 植民地天文台 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は近代世界における時間の標準化の歴史を、イギリス帝国に焦点を当てながら検討する。英領の各入植地における時間意識の変革に着目し、それを推進した多様な主体と科学技術の移転を中心に分析する。イギリスとオーストラリアのアーカイブズにおいて綿密な史料調査を行い、帝国各地を舞台に行われた時間の正確化を目指す諸活動が、植民地社会の社会経済や文化的規範にいかなる影響を与え、さらに世界規模の時間の標準化・均質化をどのように促進したかを明らかにする。
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研究実績の概要 |
本年度には、まず「イギリス帝国とグリニッジ世界標準時の形成-19世紀末における本初子午線と時間帯の受容を中心に」『西洋史研究』51号を出版することができた。この論文では、19世紀末に本国と植民地の科学技術者たちが、グリニッジ本初子午線の受容にどのように関与したかを究明した。まず国際子午線会議(1884年)の前後の時期を中心に、本初子午線の選択に関するイギリス政府の対応を論じた。政府のなかでこの問題への対処を迫られたのは科学技芸省であるため、そこに設けられた専門委員会の議事録、書簡、報告書を分析した。次にこの委員会がワシントン国際会議の決議を帝国内で実効化するために採った施策に焦点を当てた。とくに本国から植民地に向けて発せられた提言を受けて、帝国内でグリニッジ基準の時間制度が次第に敷かれていく経緯を再構成した。 つぎに、「グリニッジ天文台における文書管理の技法-ジョージ・エアリとアーカイブスの形成」縄田雄二・小山憲司編『グローバル文化史の試み』を出版することできた。この論文では、19世紀のグリニッジ天文台における文書管理の技術の発展を考察している。19世紀中葉に、天文台では観測記録、公文書、書簡、図書・論文を適切に分類・整理・収蔵する仕組みが整えられ、現在まで続くグリニッジ天文台アーカイブズの原型が生み出された。本論文では、天文台長ジョージ・エアリがどのような意図でこのような文書の整理を行い、その文書をどのように活用したかを明らかにした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は科研課題に関する2編の論考を出版することができたことから、概ね順調に伸展していると判断した。また、オーストラリアのメルボルンにおいて、メルボルン天文台に関する一次史料の調査を実施することでき、次年度にその成果をまとめる予定である。そのため、科研の計画全体の進捗もおおむね順調と言える。
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今後の研究の推進方策 |
次年度は最終年度にあたるため、本科研の成果を単著としてまとめることを優先的な課題として行いたい。
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