研究課題/領域番号 |
19K01091
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分03040:ヨーロッパ史およびアメリカ史関連
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研究機関 | 近畿大学 |
研究代表者 |
伊澤 正興 近畿大学, 経済学部, 准教授 (40611942)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2021年度)
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配分額 *注記 |
2,470千円 (直接経費: 1,900千円、間接経費: 570千円)
2021年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2020年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2019年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
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キーワード | 移民政策 / ミシシッピ・デルタ / 債務奴隷 / 労働斡旋業者 / 綿花農園 / ペオネージ / イタリア人移民 / 移民斡旋 / サニーサイド農園 / ペオネージ制 / 移民委員会 / 強制労働 / 契約労働者禁止法 / パドローネ制 / 湿地開墾 / プランテーション / 移民 |
研究開始時の研究の概要 |
南部史を語るとき、貧困および人種間対立の存在を否定することはできない。近年ではトランプ政権の誕生にともない、根強い南部保守思想に関心が寄せられている。ミシシッピ・デルタ地域はまさにコットン・ベルトの中心であり、また、南部保守連合、宗教右派、白人至上主義者からなるバイブル・ベルトとして語られる。これに対して、本研究は南部社会がつねに宗教的にも人種的にも民族的にも排他的な社会でありつづけたわけではないとの仮説を立て、アメリカ南部が閉鎖的で遅れた地域ではなく、南部独自の近代化の道を進み、社会を変革しようと闘う人々が存在した点を浮き彫りにしてく。
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研究成果の概要 |
本研究はアメリカ南部の移民政策の挫折要因を再検討するため、アーカンソー州チコ郡のサニーサイド農園を連邦司法省の強制労働史料およびパーシー家文書をもとに分析した。その結果、得られた知見はイタリア人農民の入植地の状況は考えられていたよりも劣悪ではなかったことにある。むしろ、移民政策の挫折要因はイタリア人農民への有利な入植条件ゆえに彼らの経済的自立を高めたため、大半のイタリア人農民がデルタの綿花農園から北西部ミズーリ州の農園へと移っていたためである。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
この研究の意義は20世紀初頭、南部移民政策の実態と挫折の背景を明らかにした点にある。移民入植地の実態は家族定住型の移住者にとって比較的良好であった。その一方、鉄鋼、鉱山、鉄道建設現場の単身出稼ぎ型の場合、劣悪かつ過酷な労働環境となった。さらに、家族定住型の場合、移民にとって有利な条件が整えられていたため、移民家族の経済的自立を高めた。その結果、彼らは同郷者を頼って新天地で自作農や自営業者に転じ、南部を去った。しかし、入植後、死別、病気、多産等によって極貧となった者は借金によって農園に滞留し労働意欲を喪失していった。
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