研究課題/領域番号 |
19K01096
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分03050:考古学関連
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
野島 永 広島大学, 人間社会科学研究科(文), 教授 (80379908)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2022年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2021年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2020年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2019年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | 考古学 / 古墳時代 / 前方後円墳 / 首長墓系列 / 広島県 / 帆立貝形古墳 |
研究開始時の研究の概要 |
広島県西部(安芸地域)を中心に古墳時代前期の首長墓(前方後円墳や円墳)の系列を追う。各系列の地域性とその消長をより明らかにするために、東広島市の帆立貝形前方後円墳の現地調査を行う。また、広島大学考古学研究室によって調査された広島市の前期前方後円墳の情報を公表し、首長墓系列の比較を行う。さらに、赤色立体地図などから未知の古墳(群)の確認を行うとともに、首長墓のデジタル情報を格納したアーカイブを作成する。
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研究実績の概要 |
広島大学の西条研修センターに隣接した裏山にある東広島市長者スクモ塚第1号古墳の発掘調査を継続した。新型コロナウィルス感染症対策による行動制限により、掘削面積を最小限にせねばならなかった。第7次調査(2022年度)では当初の予定を変更し、前方部想定範囲を細長く断ち割った。水平に堆積した厚い包含層から、鎌倉時代の土師質土器(坏・皿・鍋)が出土した。前方部と想定した地点だが、第1号墳を築成した盛土や埴輪片は確認できなかった。前方部前面と想定した地点では花崗岩の貫入岩脈が露出した。前方部と想定した部分の多くは花崗岩地山であり、円丘(後円)部側では鎌倉時代になって平坦に掘り込まれ、生活の痕跡をとどめたと思われる。埴輪の樹立が確認できなかったことからみても、前方部の可能性は低いと想定する結果となった。広島大学の西条共同研修センター造成の際、南西に向かう細尾根を切断、削平したこともあり、細尾根の遺存部分を前方部と見誤ったといえる。また、南東側円丘部裾には平坦に広がった盛土が付設されており、角礫が散布された状況を確認することができた。これらのことから、スクモ塚第1号古墳は簡素な造出しをもつ直径40mほどの円墳とみることができる。 出土円筒埴輪には複数の粘土紐で成形した高い突帯をもつ一群と、幅広で断面がМ字になる低い突帯の一群があり、高い突帯の一群は畿内地域の前期古墳の埴輪製作技術の影響を想定することができそうである。 長者スクモ塚第1号古墳は古墳時代前期後葉の築造となり、中四国前方後円墳研究会の新編年(岩本編年)では、Ⅴ期ごろに属するとみることができる。なお、昨年度(2021年度)の発掘調査の概要と研究成果については、広島大学考古学研究室紀要13号に掲載する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2022年度もコロナ禍により、大学での研究活動に一定の制限が設けられ、大学キャンパス外の調査研究が行えなくなった。長者スクモ塚古墳群の調査研究を通して首長墓系列を再構築することを目的としていたが、感染防止の措置を継続したことから、大学実習授業の一環として発掘調査を行う日程が少なくなり、発掘調査の規模を縮減した。このため、当初計画した発掘調査に遅延が生じた。
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今後の研究の推進方策 |
2022年度のコロナ禍により、大学での研究活動に一定の制限が設けられ、大学キャンパス外の調査研究が行えなくなった。発掘調査についても感染防止の措置を継続したことから、その調査体制を最小限にせざるを得なくなり、発掘調査の規模を縮減した。このため、資料調査に関わる旅費や発掘調査に関わる経費、あるいは刊行物の印刷費については次年度に一部繰り越し、調査期間を延長することとした。
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