研究課題/領域番号 |
19K01101
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分03050:考古学関連
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研究機関 | 鶴見大学 |
研究代表者 |
田中 和彦 鶴見大学, 文学部, 准教授 (50407384)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2021年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2020年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2019年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | ルソン島北部 / 後期新石器時代 / 金属器時代 / 土器編年 / 赤色スリップ土器 / 黒色土器 / イネ / 埋葬 / 貝塚 / 層位的発掘調査 / 植物遺存体 / フローテーション / 貝サイズ |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、ルソン島北部のラロ町に所在する5枚の良好な堆積層を有するカトゥガン貝塚を層位的に発掘調査することにより、出土土器、特に埋葬址に伴う完形の出土土器群をもとに精度の高い土器編年を打ち立てるものである。また、堆積土壌(貝層を含む)をフローテーション法によって処理し、浮いてきた種子等の植物遺存体を回収して同定することによって本地域における植物利用の実態と変遷の解明を目指すものである。あわせて、現在、水田として利用されている地点においても発掘調査を実施し、先史時代の水田址の検出に努めるものである。
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研究実績の概要 |
本研究は、良好な5枚の層(第I層~第V層)を持ったルソン島北部カガヤン州ラロのカトゥガン貝塚を3年間の予定で発掘調査することによって、より精密な土器編年を構築するための完形に近い土器を検出し、発掘した堆積物のフローテーションを行うことによって植物遺存体を検出することを目的とするものである。 1年目は、2020年2月から3月にかけて同貝塚の発掘調査を行い、第I層と第II層(遺構を伴う部分は発掘途中)を掘り下げた。 その後、2020年度と2021年度は、コロナ感染が拡大し、現地での発掘調査が困難な状況になった。そのため、2021年度末、当該科研費による研究の延長申請を行い、幸いにも延長が許可された。 そこで2022年度は、まず8月に国立博物館客員研究員の身分を更新する手続きを行うとともに、共同研究者のアメ・ガロン氏と調査計画について話し合った。そして、2023年1月中半から2月前半にかけて、同遺跡の継続発掘調査を第II層の遺構部分と一部の発掘坑(N2E10)で、第III層から第V層について実施した。 その結果、第II層の第1号遺構に伴ってイネ籾資料が検出された。これは金属器時代にイネが利用されていたことを示す重要な資料となると思われる。また、第II層から第III層でほぼ完形に復元できる土器を4点検出することができた。さらに深く掘り下げたN2E10発掘区では、最下層の第V層中に、赤色スリップ土器を含む層を2枚検出することができた。しかも最初の赤色スリップ土器を含む層の下約30㎝程の厚さの無遺物層を挟んで2番目の赤色スリップ土器を含む層が検出されたのである。これは、これまでのこの地域の自然堤防上の貝塚の発掘調査で見られなかった新たな発見であった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
コロナ感染拡大によって2020年度と2021年度に現地での発掘調査を行うことができなかったが、幸いにも研究の延長が許可され、2022年度に現地での発掘調査をフィリピン国立博物館の研究者と共同で行う事ができたため。
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今後の研究の推進方策 |
本研究は、2020年度、2021年度と2年間、コロナ感染拡大により現地での発掘調査が不可能となったため、2022年度に加えて2023年度についても研究の延長が許可されている。 そのため、2023年度は、8月に現地での継続発掘調査を実施予定であり、9月に出土遺物の資料化(実測、写真撮影)を行う予定である。 また、オーガーを使った水田跡の探査についても、自然堤防の後背地である現在の水田があるところで実施予定である。 また、出土した木炭のサンプルのC14年代測定を専門の会社に依頼して、各層の年代、特に第2番目の赤色スリップ土器を含む層の年代を確定させたい。
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