研究課題/領域番号 |
19K01107
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分03050:考古学関連
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研究機関 | 滋賀県立大学 (2021-2022) 公益財団法人元興寺文化財研究所 (2019-2020) |
研究代表者 |
佐藤 亜聖 滋賀県立大学, 人間文化学部, 教授 (40321947)
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研究分担者 |
先山 徹 兵庫県立大学, 地域資源マネジメント研究科, 客員教授 (20244692)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
3,900千円 (直接経費: 3,000千円、間接経費: 900千円)
2021年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2020年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2019年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | 高野山 / 町石 / 石造物 / 五輪塔 / 矢穴 / 中世寺院 / 花崗岩 / 石材 / 寺院 / 技術 / 岩石学 / 金石文 / 考古学 / 石工 / 技術伝播 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は日本中世における石造物の考古学的研究を通じて、中世寺院が持つ技術的求心性を明らかにすることを目的とする。まず高野山町石をテーマとして、その造営における地方石工の集結と硬質石材加工技術の共有を明らかにし、また、高野山町石造営終了後各地へ石工技術が分散してゆく過程を具体的に検証することで、石造物造立技術の拡散について検討を行う。そのうえで、寺院が持つ技術的求心性と情報発信力について明らかにする。
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研究成果の概要 |
高野山町石のうち、鎌倉時代のもの155基について、実測調査を行った。また、220基全点について、石材鑑定と産地推定を行った。 五輪塔の形態分析からは、製作にかかわった集団が2グループ存在し、一つは大和の工人、もう一つは京都・近江の工人であると考えた。さらに石材分析からは六甲山麓の花崗岩が多く使われたほか、領家帯の花崗岩の利用も判明した。石材分類と形態分類には相関関係がなく、高野山町石の造営に際しては方柱状の素材が採石場で生産され、高野山近隣で五輪塔の形に仕上げられたと考えられることが判明した。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
中世の高野山は単なる宗教的拠点ではない。このことを如述に物語るのが高野山町石事業であり、この事業は鎌倉期日本の東西、公武融合の象徴であったと考えられる。本研究ではそこで使用された基本技術やその担い手、そして採石場をはじめとする大規模な開発事業の状況をあきらかにした。これは中世寺院が単なる宗教拠点というだけでなく、様々な技術・情報の集約地であり発信地であったことも意味する。高野山町石造営によって行われた先端技術の交流・融合は、その後の採石加工技術と石造物形態の全国拡散を導いたものと考えられる。 このように本研究は情報集積と拡散という、中世寺院の新たな一側面を拓いたと考える。
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