研究課題/領域番号 |
19K01113
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分03050:考古学関連
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研究機関 | 愛媛大学 |
研究代表者 |
槙林 啓介 愛媛大学, アジア古代産業考古学研究センター, 准教授 (50403621)
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研究分担者 |
黒住 耐二 千葉県立中央博物館, その他部局等, 研究員(移行) (80250140)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2021年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2020年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2019年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
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キーワード | 考古学 / 浜堤 / 製塩 / 瀬戸内海 / 産業 / 環境史 / 地形環境 |
研究開始時の研究の概要 |
海岸地形環境に着目して、瀬戸内海地域における島嶼部の海岸利用史とその特徴を明らかにする。瀬戸内海沿岸では、海岸地形環境のうち、とくに浜堤と砂丘が製塩などの適地として利用されてきたが、いつ、どのような地形だったのかはまだ不明なことが多い。また、そもそも島嶼部における浜堤の形成がいかなるものかもわかっていない。このため、まず浜堤と砂丘の形成の実態を、遺跡の考古学的調査とともに明らかにする。そして、製塩遺跡などが立地する地形環境とその利用を比較することで、瀬戸内海地域の沿岸部と島嶼部の相違や特徴を考察する。地形環境史的視点から見た瀬戸内海島嶼部の歴史的特性について探求する研究の一環である。
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研究実績の概要 |
本申請研究は、海岸地形環境に着目して、瀬戸内海地域における島嶼部の海岸利用史とその特徴を明らかにするものである。コロナ禍による影響で、今年度は2年度目の更新を行い、研究を継続した。 瀬戸内海沿岸部の事例研究として、上島町教育委員会による上島町島尻遺跡の発掘調査は今年度も実施されず、本科研もその地形環境の復元を担当していたがその分析は実施できかった。そのため、島尻遺跡の地形環境の復元は2021年度までの成果に基づいて総括することにした。島尻遺跡は礫浜海岸でありほか遺跡のような砂による浜堤ではないものの、しかし礫を主体とした浜堤は形成されていたものと考えられる。揚げ浜塩田はこの浜堤の内側に位置しており、その層位関係からも浜堤の形成が塩田の構築を可能にしたと言える。 東アジアとくに中国の東シナ海沿岸部における浜堤(地形環境)と塩業遺跡に関する研究成果をすでに公表している。その際、東南中国沿岸部では「貝殻釜」と呼ばれる塩釜があり、それが日本・九州沿岸部には竹などの木材を構造材として漆喰等で塗り固めて築く「あじろ釜」と呼ばれる塩釜と何らかの関係があることを指摘した。このことについて、九州に残存する遺跡や民俗事例を調査し、鹿児島県旧大浦(現南さつま市)にバラ釜に泥を塗って塩釜としていた事例を確認した。残存事例はなく、その詳細な構造や規模は不明であるが、民俗報告からすると、あじろ釜に類似すると考えらえる。東アジアを大きく俯瞰した際に、何らかの関係があるか引き続き調査をしたい。
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