研究課題/領域番号 |
19K01121
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分03050:考古学関連
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研究機関 | 独立行政法人国立文化財機構奈良文化財研究所 (2020-2022) 一般財団法人大阪市文化財協会 (2019) |
研究代表者 |
松本 啓子 独立行政法人国立文化財機構奈良文化財研究所, 都城発掘調査部, 客員研究員 (20344377)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
3,640千円 (直接経費: 2,800千円、間接経費: 840千円)
2022年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2021年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2020年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2019年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
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キーワード | マジョリカ陶器 / 色絵フォグリー文アルバレルロ / 宗教改革 / 天正遣欧少年使節 / 禁教令 / 末次興善 / 末次平蔵 / 神屋宗湛 / 禁教令・鎖国 / 日欧交流史 / 鎖国 / カトリック修道院 |
研究開始時の研究の概要 |
マジョリカ陶器アルバレルロは、本来はカトリック修道院薬局専用の薬容器で、大航海時代にヨーロッパ船で世界中に広まった。大坂出土品のような日本の色絵フォグリー文アルバレルロは、壺の作りはヨーロッパの同時代のものだが、意匠だけは何故か半世紀以上古い。そこで、どんな種類のマジョリカが、いつ、どこに流通したかを探り、実物比較から大坂出土品が日本向けの特注品だったことを再確認し、鎖国・禁教令下に、半世紀も前の意匠をもつカトリック寄りの壺がどのように注文され、茶道の器に採用されたのかを考える。情報伝達者は千々石ミゲルが一番の候補で、天正少年使節の訪問地を辿り、色絵フォグリー文を知り得たかどうかを調べる。
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研究成果の概要 |
茶道の水指で有名な17世紀中~後半のマジョリカ陶器色絵フォグリー文アルバレルロは、ヨーロッパ製品に照らすと17世紀前半のオランダ製の本体に16世紀後半の色絵フォグリー文を描いた壺となり、ヨーロッパでアルバレルロがカトリック修道院の内面無釉の薬壺で、同一型式がないことから、日本の壺はカトリック、茶道、貿易関連の人の関与でオランダへ注文した17世紀の品と考えた。 禁教令下にこの注文は不可能とみられたが、博多と長崎のマジョリカ出土地付近に茶人で貿易商の神屋宗湛、キリシタンで貿易商の末次興善と長崎代官も兼ねた子の平蔵、千々石ミゲルが居り、記録からも、彼らとオランダ商館の関与した注文の可能性が考えられた。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
日・欧のマジョリカ陶器出土品の比較から日本の色絵フォグリー文アルバレルロは16世紀後半の意匠を描く17世紀前半のオランダ製の壺と判明し、マジョリカ分布の変遷から宗教改革期のカトリックと繋がる壺とわかった。 この壺はキリシタン、茶人、貿易商の関与なしには生まれないので、禁教令・渡航禁止令下の日本の注文は不可能とみられたが、貿易商と元キリシタン大名の所領で出土し、17世紀前半の博多と長崎の出土地付近には貿易商茶人、キリシタン貿易商とその子孫の長崎代官、遣欧使節の千々石ミゲルが居たので、彼らが関与したオランダ商館への注文と考えられた。 出土品が鎖国前後と宗教改革期の日欧通商の一端を明らかにしたのである。
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