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鍾乳洞における照明植生を軽減する光環境に関する実験的研究

研究課題

研究課題/領域番号 19K01132
研究種目

基盤研究(C)

配分区分基金
応募区分一般
審査区分 小区分03060:文化財科学関連
研究機関独立行政法人国立文化財機構東京文化財研究所

研究代表者

朽津 信明  独立行政法人国立文化財機構東京文化財研究所, 保存科学研究センター, 室長 (50234456)

研究分担者 佐藤 嘉則  独立行政法人国立文化財機構東京文化財研究所, 保存科学研究センター, 室長 (50466645)
西山 賢一  徳島大学, 大学院社会産業理工学研究部(理工学域), 准教授 (60363131)
犬塚 将英  独立行政法人国立文化財機構東京文化財研究所, 保存科学研究センター, 室長 (00392548)
西澤 智康  茨城大学, 農学部, 准教授 (40722111)
片山 葉子  独立行政法人国立文化財機構東京文化財研究所, 保存科学研究センター, 客員研究員 (90165415)
研究期間 (年度) 2019-04-01 – 2022-03-31
研究課題ステータス 交付 (2019年度)
配分額 *注記
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2021年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2020年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2019年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
キーワード照度 / 単色LED / 藻類 / 洞窟 / 光源 / 波長制御 / 積算照度
研究開始時の研究の概要

まず、臼杵市の風連鍾乳洞における照明植生の現状解析と同定を行う。同定された緑色生物を用いて室内実験を行うことにより、波長特性や積算照度などの観点からその生物が繁茂しにくい照明条件を解析する。有効と判断された条件を現地において実現し、実際の鍾乳洞で緑色生物軽減に有効かどうかを検証する。最後に見学者の視点で見学に支障がないかどうかの検証を経て、最終的に照明植生を制御しながら鍾乳洞を公開するのに有効な照明条件を提示する。

研究実績の概要

初年度はまず、各地の鍾乳洞を訪れ、鍾乳石を覆って存在している照明植生と、そこに照射されている人工照明との関係について全体的な傾向を把握することを試みた。調査を行った鍾乳洞は、山口県の秋芳洞、高知県の龍河洞と菖蒲洞、大分県の風連鍾乳洞、沖縄県の玉泉洞、和歌山県の戸津井鍾乳洞である。その結果、概して照度が高い箇所で照明植生の繁茂が顕著な傾向は見られ、人工照明が全く与えられていない菖蒲洞の奥部では緑色生物は殆ど認められなかった。これまでのところ、照明植生は100lxを超えるような個所で繁茂が著しく、10lxを下回るような箇所では顕著ではない傾向が伺えたが、照明の種類や水分条件などの個別の事情にも起因して例外も多く認められたため、必ずしも一般化できる傾向かどうかはまだわからない。このうちの風連鍾乳洞では、近接して照明条件以外が類似した環境にありながら、緑色生物が顕著に繁茂する箇所とそうでない箇所とでそれぞれ照度の連続計測を開始し、両地点でどのくらいの積算照度になるかの計測を開始した。また、顕著に観察された緑色生物の解析を行い、窒素固定能をもつシアノバクテリア Scytonema属に近縁であるシアノバクテリアが主要な構成種であることがわかった。この他、光合成に使用される波長域をなるべく含まない各波長域の単色LEDを多数入手し、見学者に違和感を与えないような色温度の照明でありながら、ある程度の照度を与えても光合成を行いにくいと考えられる照明を試作した。これにより、ある程度の積算照度を与えても緑色生物を繁茂させにくいような照明を提案できることが期待される。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

各鍾乳洞における人工照明の照射状況と照明植生の繁茂状況との関係についての傾向についてはかなり把握できており、大まかには照明植生を繁茂させにくい照度の目安値のような概念も認識できるに至っている。ただし、全ての対象についてその照度条件で公開を続けることは非現実的と考えられることから、目安値を超える条件で照射を続けても繁茂が軽減できるような条件を見極めていく必要がある。この点については、風連鍾乳洞を例として、そこに現実に繁茂している照明植生について同定を行うことができたので、その照明に関する特性を具体的に明らかにしていくことができると期待される。また、光合成に使用される波長域を含まずに、かつ視覚的に与える違和感が小さいような照明を試作することができたので、これを具体的に改善しながら室内実験や現地実験に進むことができる状態まで作り上げることができた。これは初年度の計画通りであり、順調に進展していると判断される。

今後の研究の推進方策

2年目である本年度は、風連鍾乳洞に昨年度設置したデータロガーから、一年分の照度データが得られる予定であったが、新型コロナウィルスの影響によって通常時とは全く異なる照度条件になっている可能性が想定され、現地の状況がどのように変化しているか予想できない状態となっている。また、今後の社会情勢の中で、現地調査に行けるかどうかも不透明である。ただし、既に単離されている、実際に風連鍾乳洞で卓越していた照明植生によって室内実験を行うことは可能と予想され。このため、昨年度試作した、照明植生をなるべく繁茂させにくい照明をさらに改善することによって新たな照明を作成し、それによって室内実験を試みることから、当該照明植生の繁茂を軽減できるかどうかの検証を試みる予定である。その上で、もしも現地調査が行えるようであれば、現地実験を開始する可能性も視野に入れるつもりである。

報告書

(1件)
  • 2019 実施状況報告書

研究成果

(1件)

すべて 2020

すべて 学会発表

  • [学会発表] 風連鍾乳洞内に生育する照明植生の微生物叢解析2020

    • 著者名/発表者名
      黒坂愛美, 佐藤嘉則, 片山葉子, 朽津信明, 西澤智康
    • 学会等名
      第14回日本ゲノム微生物学会年会
    • 関連する報告書
      2019 実施状況報告書

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公開日: 2019-04-18   更新日: 2021-01-27  

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