研究課題/領域番号 |
19K01133
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分03060:文化財科学関連
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研究機関 | 独立行政法人国立美術館国立西洋美術館 |
研究代表者 |
高嶋 美穂 独立行政法人国立美術館国立西洋美術館, 学芸課, 特定研究員 (80443159)
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研究分担者 |
谷口 陽子 筑波大学, 人文社会系, 准教授 (40392550)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2022年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2021年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2020年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2019年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
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キーワード | 膠着材 / 展色剤 / 蛋白質 / ELISA / LC-MS / コラーゲン / 植物ガム / 卵 / 膠着剤 / 展色材 / 膠 / CG/MS |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、美術作品や歴史資料に用いられている膠着材(展色材、接着剤)の同定を目的とした研究である。これまでに研究を進めてきたELISA法(酵素結合免疫吸着法)、LC-QqQ/MS法(液体クロマトグラフ-三連四重極型質量分析法)の改善と検出不可能なパターンの把握に加え、新たに高感度LC-QTOF/MS法(液体クロマトグラフ-四重極飛行時間型質量分析法)の導入、樹脂フィルムを用いたサンプリング法の検討などを行い、同定の精度を上げるとともに必要サンプル量を減らす。さらに国立西洋美術館所蔵の美術作品や、遺跡における壁画、そのほか歴史資料の膠着剤分析を実施をする。
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研究実績の概要 |
昨年度に引き続き、自然劣化した自作絵画レプリカサンプル(各種顔料+ウシ膠・卵黄・卵白、カゼイン・アラビアガム。今年度で約6年経年したサンプル)をELISA法で分析した。顔料+卵黄サンプルは抗オブアルブミン抗体に対する反応が1年前(検出限界0.0001%か0.001%)に比べて全体的に低下した(検出限界:0.001%か0.01%)が、他の膠着材を使ったレプリカサンプルでは各抗体に対する検出限界はほとんどかわらなかった。また昨年同様、Cuイオン・Feイオンなど特定の金属元素を含む顔料が入ったサンプルは他よりも検出感度が低くなるというはっきりとした傾向は認められなかった。顔料+ウシ膠サンプルでは検出感度の改善のため60℃湯煎しながらの超音波粉砕(1時間)を試みたが、1つの抗体(AB758)では改善されず、もう1つの抗体(ab34710)ではほぼすべての顔料において感度が低下する逆効果になったので湯煎は行わないことにした。さらにサンプル溶出液に含まれる尿素やSDSが検出感度を悪くさせている可能性を考えて炭酸水素ナトリウムやPBSで溶出したサンプルも分析したが、サンプル溶出液を使用した場合に比べて明らかに感度が低下したので、サンプル溶出液の変更も中止した。 抗コラーゲンⅠ抗体の交差性を調べるために、ヤギ皮からコラーゲンⅠをペプシン可溶化して抽出し、反応させた。予想どおりヤギをホストとするAb758はヤギコラーゲンⅠには反応せず羊コラーゲンⅠには検出限界が0.001%と、他の動物由来のコラーゲンⅠに対してよりも反応が悪いことを確認した。 今年度から蛋白質の検出にあたってはLC-MSに加えてアミノ酸分析機も導入することにし、アミノ酸の検出と、LC-MSによるデータベースサーチとマーカーペプチドの検出を合わせることで蛋白質の存在をより確実に検出できるようにした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
コロナ禍のために、遺跡など現地での調査や博物館・美術館で所蔵している作品の調査が進まず、分析する試料が入手できなかったことや、これまで使用してきた抗コラーゲン抗体の反応性が変わってしまい適切な抗コラーゲン抗体を探さなければならなくなったが、適切な抗体がなかなか見つけられなかったことによる。
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今後の研究の推進方策 |
2023年度は、1)絵画レプリカサンプルの強制劣化と、そのサンプルのELISA法やLC-MS法での分析、2)これらの方法で検出可能・不可能なパターン(顔料や夾雑物や経年による影響)の明確化、3)実試料の分析、を進める。1)~3)の結果を総合することにより、膠着材の同定に必要なサンプル量と分析結果の正確さ/不正確さを把握する。
ELISA法、GC-MS法は研究代表者(高嶋)が担当、LC-QqQ/MS法、LC-QTOF/MS法、アミノ酸分析は株)ニッピ・バイオマトリックス研究所の研究協力者(多賀、熊澤)が担当する。研究分担者である谷口は、実資料の調達・調整、試料の顕微鏡観察、XRF、XRD分析などを行う。
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