研究課題/領域番号 |
19K01146
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分03070:博物館学関連
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研究機関 | 千葉県立中央博物館 |
研究代表者 |
奥野 淳兒 千葉県立中央博物館, その他部局等, 研究員(移行) (60280749)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2021年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2020年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2019年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | 自然史博物館 / 標本 / 横浜 / 高度経済成長 / 個体群絶滅 / 陸水 / 東京湾 / 甲殻類 / Haberer / 自然史資料 / 変遷 / 絶滅 / 自然史標本 / サワガニ / 明治時代 |
研究開始時の研究の概要 |
自然史博物館に保管されている標本のうち、明治から昭和の戦前にかけて東京湾沿岸で採集されたエビやカニなどの十脚甲殻類を精査し、自然豊かだった時代の同水域における甲殻類相を推定する。これらを現在の同水域で新たに得られた標本と比較し、個体群が絶滅・激減した種を明らかすることによって、甲殻類相の推移を解明する。特に、ミラノ市立自然史博物館には、貿易商人として横浜に在住した英国人 Alan Owston (1853-1915) が千葉県や神奈川県の沿岸や陸水域で収集した多数の十脚甲殻類標本が所蔵されている。現在の分類体系に従ってこれらを同定し、かつての東京湾に生息した種に関する情報源とする。
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研究成果の概要 |
本研究では、自然環境が良好だった高度経済成長期以前の東京湾における十脚甲殻類相を明らかにするために、明治時代に日本の玄関口となっていた横浜で採集された十脚甲殻類標本をイギリス、ドイツ、オーストリアの自然史博物館で調査した。その結果、計28科52種が明治時代の横浜に生息していたことが確認された。これを横浜で新たに採集した標本と比較し、古地図や古写真から得られた当時の環境とあわせて検証した。その結果、高度経済成長期以降では、横浜港から本牧にかけての水域で一部の種の個体群絶滅が示唆された。一方、陸水域や沖合いでは、明治時代から現在にかけて、個体群を維持している種も多く見出された。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
わが国の博物館では、環境の変遷を追跡するために動植物の標本を定期的に収集し、これを恒久的に保管するという考え方が定着していない。明治初頭、博物館とほぼ同時期にわが国に導入された動植物の分類学とそれに付随する標本の収集と保管は、東京帝国大学との結びつきが強かった。そのため、欧米では自然史博物館の中心的な活動であるにもかかわらず、自然史資料に関する位置付けは、博物館活動のフォーマットを検討する中から抜け落ちていた。今回、自然史博物館の甲殻類標本を調査することで、120年前の東京湾の動物相やそれらの生息する環境を再認識することができ、改めて博物館の自然史資料が持つ社会的意義を問い直す契機となる。
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