研究課題/領域番号 |
19K01173
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分04020:人文地理学関連
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研究機関 | 大阪公立大学 (2022) 大阪市立大学 (2019-2021) |
研究代表者 |
祖田 亮次 大阪公立大学, 大学院文学研究科, 教授 (30325138)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2021年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2020年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2019年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | アブラヤシ / マレーシア / サラワク / 小農 / 認証制度 / マルチスケール分析 / フロンティア / 政治生態学 / 生産者団体 / プランテーション / 企業-小農関係 / 先住民 / 資源利用 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、マレーシア・サラワク州を事例に、小農社会を取り巻く新たな動向を多角的・多層的に検討し、グローバルな市場経済との関係から企業-小農関係および都市-農村関係を再定義し、開発最前線における小農の生存戦略を明らかにする。プランテーションの世界とは別の世界で営農してきた先住民が、都市住民との農村土地利用の競合や、認証制度の全国的浸透などを通じて、外部社会とどのような関係性を構築しつつあるのかを、ミクロからマクロまでの各空間スケールにおいて具体的に調査し、政治生態学的な枠組みで議論する。それによって、東南アジアのプランテーション・フロンティアにおける小農の生存戦略モデルを提示する。
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研究実績の概要 |
コロナ禍による規制が一部解除され、現地を訪問することができた。現地では、これまで関係を維持してきた研究協力者や調査対象者たちと複数回の面会を行い、これまでの遅れを取り戻しつつ、現地調査を再開するための手続きについて議論した。具体的には、サラワク大学の研究者や、調査アシスタント、現地のキーパーソンなどを相手に、アブラヤシ産業に関わるコロナ禍における状況の変化についての聞取りを行い、関連する情報源を収集した。また2023年度の現地調査としては、サラワク州ビントゥル県を中心に、プランテーションや小農におけるインドネシア人労働者の動向や、認証制度の浸透プロセスについての調査を行うことを予定している。 年末までは、国内で得られた情報をもとに、次年度以降の調査設計を行った。新聞記事や統計情報によると、コロナ禍によりアブラヤシ産業の人手不足が進行してきただけでなく、アブラヤシに依存しすぎない小農のオルタナティブが具体的に模索されつつあることが明らかになってきた。このような変化が、サラワクの焼畑民・狩猟民の社会にどのような影響をもたらすのか、隣地調査を行うと同時に、従来の小農論を渉猟しつつ、ここ数年の変化を理論的に解釈しなおすための枠組み設定を行ってきた。 一方、コロナ禍以前に収集した情報を整理しなおし、2件の論文投稿を行った。具体的には、『福井県立大学論集』と『空間・社会・地理思想』への投稿である。いずれも、共同研究者である加藤裕美氏との共著として投稿した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
コロナ禍で過去数年にわたり現地調査ができなかった。2022年度の後半になり、渡航規制が一部緩和され、年度末に現地訪問が可能になったが、これまでの関係性を再構築することに労力を割いたため、予定していた現地調査の再開には時間がかかった。その一方で、日本国内で収集可能な情報を集め、研究枠組を強化するとともに、手持ちの情報での論文執筆も行った。
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今後の研究の推進方策 |
2023年度は、現地調査を行うことを考えている。その場合、具体的には、次の諸点について情報収集を行う予定である。1)過去数年においてアブラヤシ認証制度が農村地域にどの程度浸透してきたか、2)その浸透過程における主要なアクターはどのようなものか、3)そのかなでDOPPAのような新興の生産者任意団体がどのような枠割を果たしたか、4)それが認証というグローバルな制度と地域社会の橋渡しにいかなる影響力を持ったのか、5)農業生産に関わる情報の取得と共有が地域社会の変化にどのような意味をもたらしてきたか、などである。これらの情報をもとに、マレーシア・サラワクの内陸先住民がミクロレベルにおける生業・生活の変化を経験してきたのか考察すると同時に、それが、世界市場に流れるアブラヤシ・パーム油のグローバルレベルでの扱われ方とどう関係するのかを議論する。その際に、サラワクにおける実質的に初めての生産者団体DOPPAの、社会経済的かつ政治的な機能を論じることで、政治生態学的な議論へとつなげることを考えている。
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