研究課題/領域番号 |
19K01174
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分04020:人文地理学関連
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研究機関 | 下関市立大学 |
研究代表者 |
佐藤 裕哉 下関市立大学, 教養教職機構, 教授 (30452626)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2022年度: 260千円 (直接経費: 200千円、間接経費: 60千円)
2021年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2020年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2019年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
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キーワード | トランジション / 制度的リンケージ / 実績関係 / 経路依存 / コミュニティキャピタル / 制度的厚み / 産官学連携 / 薬業教育 / 若者 / 地元定着 / 産業教育 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は地域の産業教育が若者の地元定着に及ぼす影響について明らかにすることを目的とする。具体的には、高校生の地元就職率が高い富山県の医薬品産業を事例として、地域の高等専門学校(高専)や工業高校が地域の医薬品企業(工場)へ人材を送り出すメカニズムと、企業が安定的に人材を確保するために教育機関とどのような協力体制を構築しているか、行政や産地組合などがそれをどのように支援しているか、について各主体への聞き取り調査やアンケート調査をもとに把握する。また、富山県と同様に化学産業、医薬品産業の集積が進む山口県を比較対象とすることで、富山県の特徴を見い出す。
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研究実績の概要 |
労働力の需要側から山口県の若者のトランジションと制度的リンケージの実態を把握するため、医薬品関連企業へのアンケート調査を行った。分析の結果、以下の点が明らかになった。製造部門の従業者の山口県内出身者比率は富山県と比較すると低く、特に県外に本社がある企業において低かった。また、県内の工業高校(化学系学科)・高専に限定して、その採用実態を比較すると、工場所在地近くの高校・高専からの採用が多い傾向がみられた。県内高校とのネットワークも、富山県と比較すると弱く、「実績関係」、企業説明会の実施、就職担当教員との定期的な情報交換、の回答はあったが、富山と比べると少なかった。一方、「実績関係」の基準として成績やコミュニケーションなどが指摘され、富山県での調査と同様の傾向が示された。 上記に加えて、これまでに実施した富山県の若者アンケート調査、医薬品関連企業調査の結果を、より詳細に、定量的に分析するために、テキストマイニングの手法などを用いてまとめた。富山県の若者の多くが富山で働くことを前提に就職している理由への回答として、「地元への愛着」や「家族」などの言葉が多くから指摘された。また、特に高卒者において、学校は依然として就職先企業を探すために重要である。企業も若者の地元志向、例えば高校や家からの距離を意識し採用を行っている。そのため、県内高校との交流を定期的に行い(OB・OGによる高校での企業説明会や就職担当教諭との面会)、関係を維持している。以上より、制度的リンケージが若者のトランジション、地元定着に影響しているといえる。しかしながら、高卒者においては採用の際に成績が重視され技術面でのつながりは弱く、それがミスマッチを生んでいることが若者、企業の双方から示された。また、薬業科をもつ高校の所在地と企業の立地地域など県内における地域差が指摘され、よりローカルな分析を行う必要性も示された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
コロナウィルスによる2021年度までの遅れに加えて、自身の他大学への転出が決まり、山口県の若者アンケート調査が実施できなかったからである。
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今後の研究の推進方策 |
コロナウィルスの影響で全体的に進捗が遅れていたことに加え、自身の他大学への転出が決まり山口県の若者アンケート調査ができなかったため研究期間を1年間延長した。 2023年度は、まずは山口県の若者アンケート調査を実施し、山口県の若者のトランジションの実態を把握する。そして、2022年度に実施した医薬品関連企業の調査結果を踏まえて、制度的リンケージの視点から分析したい。また、2023年度は最終年度となるため、山口県の結果と2022年度までに実施してきた富山県の結果とを比較することを通して、地域産業教育と地元定着について考察する計画である。
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