研究課題/領域番号 |
19K01180
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分04020:人文地理学関連
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研究機関 | 関西学院大学 |
研究代表者 |
大石 太郎 関西学院大学, 国際学部, 教授 (70433092)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2023年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2022年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2021年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2020年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2019年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
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キーワード | アイデンティティ / ローカル化 / ハイブリッド化 / フランス系カナダ / ケベック州 / 博物館 / アカディアン / ニューブランズウィック州 / プリンスエドワードアイランド州 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究課題の目的は、さまざまな点で転換期を迎えているフランス系カナダにおけるアイデンティティのローカル化とハイブリッド化を現地調査に基づいて明らかにすることである。カナダのケベック州やニューブランズウィック州にはフランス語話者が多く居住し、ケベック州においてカナダからの分離・独立を求める動きが活発化した1960年代以降、地域と結びついたアイデンティティが強調されてきた。しかし近年では、アイデンティティの境界が低くなりつつある。本研究課題ではこうした動きをアイデンティティのハイブリッド化ととらえ、文献や統計資料、参与観察や聞き取り調査に基づいて検討する。
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研究実績の概要 |
本研究課題は、さまざまな点で転換期を迎えているフランス系カナダにおけるアイデンティティのローカル化とハイブリッド化を現地調査にもとづいて明らかにすることを目的としている。しかしながら、新型コロナウイルスの感染拡大により、2020年度および2021年度は現地調査を実施できず、2022年8月になって3年ぶりに現地調査を実施できた。そこで、今年度の調査では再確認の意味も含めて広域的に現状を把握することに努めた。また、ケベック州のラヴァル大学図書館において関連資料を収集した。 今年度の調査では、広域的に現状を把握するなかで、アイデンティティのローカル化やハイブリッド化にかかわるものとして博物館の展示内容に注目した。博物館は「地域を展示する」役割を果たし、人々のアイデンティティの形成や継承にかかわるものと位置づけられる。フランス系カナダでは各地の地理的環境に対応した生活が営まれ、産業が発展してきた。たとえば、ケベック州ではかつて、地形の境界に形成された滝を活用した水力発電によるエネルギー供給を背景に製造業が立地した。製造業が衰退した現在でもその歴史は地域の誇りであり、かつての工場などは文化財となって博物館に転用され、観光客はもとより、アイデンティティのハイブリッド化が進む現在の住民が地域の歴史を学ぶ場となっている。 また、2021年に実施されたカナダ国勢調査の結果の公表が進んでおり、その分析も進めている。現地調査の成果を中心に、これまでに収集した資料の分析を進めて、今後も本研究課題を推進していくつもりである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
これまでに蓄積してきた資料にもとづいて若干の成果を公表できたものの、新型コロナウイルスの感染拡大により、本研究課題を進めるにあたって不可欠である現地調査を2020年度および2021年度は実施できなかったため。また、新型コロナウイルスの感染拡大の影響は研究以外のさまざまな業務におよび、十分に研究時間を確保できなかった時期があったため。
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今後の研究の推進方策 |
新型コロナウイルスの感染拡大により現地調査ができなかった時期があり、2022年度はようやく再開できたが、すべてが当初の予定どおりに進んでいるわけではない。今後は、手を広げるよりむしろ、2019年度および2022年度に実施した現地調査のフォローアップを中心に作業を進め、その他の資料も活用しつつ、確実に成果を挙げられるよう努めたい。また、調査ができなかった時期も現地の新聞の電子版を購読して現地情報をフォローしており、今後も継続する。さらに、必要に応じて研究補助者を雇用し、データの整理と分析を効率的に進められるよう工夫したい。
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