研究課題/領域番号 |
19K01183
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分04020:人文地理学関連
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研究機関 | 宇都宮大学 |
研究代表者 |
松村 啓子 宇都宮大学, 共同教育学部, 教授 (60291291)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2021年度: 130千円 (直接経費: 100千円、間接経費: 30千円)
2020年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2019年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
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キーワード | 栃木県 / 和牛子牛 / 集団的学習 / 受精卵移植 / レジリエンス / 福島県 / 原子力災害 / 経営再開 / とちぎの和牛を考える会 / 飯舘村 / 営農再開 / 畜産クラスター / 知識移転 / コントラクタ- / エコフィード / 那須地域 / ネットワーク / 原発事故 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、農水省の畜産クラスター事業への参加如何にかかわらず、経済主体間に実質的かつ戦略的な連携が認められる酪農、肉用牛飼養地域を対象に、「主体間の分業および知識・技術の移転や共有化が、畜産物・畜産加工品の競争力を高め、産地の持続的な発展に寄与しているか」を問う。具体的には、①畜産地域にみられる主体間の戦略的連携の実態、②ネットワークの構造と知識創造の関係、③クラスター構築による外部経済にもとづく地域レジリエンスの実現について分析する。
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研究成果の概要 |
本研究は、栃木県および福島県の肉用牛経営を対象に、戦略的な主体間連携にもとづく知識・技術の移転と地域レジリエンスの関係にせまった。栃木県産子牛は受精卵移植産子が多いという特徴がある。栃木県内の肉用牛経営の全県的組織である「とちぎの和牛を考える会」はET技術の普及と、酪農経営との連携による生産基盤強化に先鞭をつけた。近年は、大規模企業経営で生産されるET子牛が、家畜市場でのシェアを伸ばしている。 他方、原発事故被災地である福島県飯舘村では、2017年より肉用牛経営再開が本格化した。粗飼料調達を介した耕畜連携が進められる一方で、子牛および肥育牛の品質構築に関する協働的な取組は未着手である。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
和牛肉はアジア諸国の富裕層向けの輸出拡大が期待される。一方で経営者の高齢化や、突発的な災害という阻害要因に対し、世代間の技術継承が適切になされなければ、家族経営にもとづく和牛肉生産は衰退の一途をたどる。本研究が取り上げた、多様なアクターを結びつける集団的学習は、世代を超えた自己研鑽と経営改善のための情報収集の場として機能し、産地のレベルアップと後継者育成に有効であることを示している。また、本研究で明らかにした、家族経営農家の子牛の血統構成および繁殖方法に関する選択は、今後の大規模企業経営に対する研究結果と合わせて、生産効率化と商品性実現の両立についての有用な示唆を与えている。
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