研究課題/領域番号 |
19K01185
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分04020:人文地理学関連
|
研究機関 | 三重大学 |
研究代表者 |
北川 眞也 三重大学, 人文学部, 准教授 (10515448)
|
研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
|
研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
2,990千円 (直接経費: 2,300千円、間接経費: 690千円)
2023年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2022年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2021年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2020年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2019年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
|
キーワード | 地中海 / ランペドゥーザ島 / 場所の政治 / 移動性 / 境界 / 批判地政学 / ロジスティクス / 地理的想像力 / ランペドゥーザ / インフラストラクチャー / 場所 / 地政学 / 海 / 記憶 / 惑星都市化 / 移動 / 島嶼性 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、「移民の島」、「難民の島」として知られてきた地中海・ランペドゥーザ島の歴史的記憶の調査を行う。そのさい、「移民政治」から一旦離れながら、ランペドゥーザの過去の様々な社会的、政治的行動、日常生活の記憶を、インタビュー調査を通して浮かび上がらせる。そうした語りを、イタリア国家との中心-周辺関係に規定される島の従属的欲望と、地中海という海へと自身を開放する島の自律的欲望との間に位置づけることから、この島の場所性を明らかにし、そこから「島嶼性」の地政的意味を検討する。最終的には、従来の「移民政治」からみたランペドゥーザではなく、ランペドゥーザからみた「移民政治」を言葉にすることを目指す。
|
研究成果の概要 |
本研究では、移民がたどり着く島として知られる地中海・ランペドゥーザ島の場所の政治に着目した。当初は多くの島民へのインタビューを通じて、ローカルな場所の記憶を明らかにすることで、この課題に取り組むつもりだったが、新型コロナウイルスのパンデミックのため、研究の目的や方法を大きく変更した。そこで批判地政学やロジスティクスなどの議論を通じてより広域スケールで展開される諸過程を分析し、そこから島の場所の政治において表現される文化的・社会的実践の意味を考察した。「周辺」化された島では、「中央」=国家に収まる従属的欲望が支配しつつも、地中海へと自身を開放するような自律的欲望、地理的想像力が形成されてもいた。
|
研究成果の学術的意義や社会的意義 |
ランペドゥーザ島に焦点を当てた本研究は、きまって領土の周縁として認識される国境・境界の支配的な理解に再考を迫るという点において、学術的かつ社会的な意義があると考える。国境は単なる分割のラインではなく、逆説的にも、多方向からの様々な人やモノを、抗争を含む仕方で結びつける場所でもある。加えて、そうした過程で生じる場所の政治のなかに、また住民によるローカルな地理的・歴史的・文化的文脈を掘り起こす実践のなかに、国家と資本の論理に収斂することのない地理的想像力の生成を見出す本研究は、固定的・静態的にみえる既存の地理が、実際にはより複雑でたえず争われている過程を明らかにするという点でも意義があるだろう。
|