研究課題/領域番号 |
19K01187
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分04020:人文地理学関連
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研究機関 | 香川大学 |
研究代表者 |
平 篤志 香川大学, 教育学部, 教授 (10253246)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
3,900千円 (直接経費: 3,000千円、間接経費: 900千円)
2021年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2020年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2019年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | グローバルニッチ企業 / 中小企業 / 海外展開 / パイプライン / バズ / 経済地理学 / グローバルニッチ |
研究開始時の研究の概要 |
日本では景気は回復基調にあるものの地方では状況が厳しい所が多い。そのような中,世界市場で高い競争力をもつグローバルニッチ企業の存在が注目されている。本研究は,地方に拠点をおくグローバルニッチ企業の展開とその海外ネットワーク拡大過程の特徴を,地理学的視点(企業活動と立地地域・取引地域との関係性)に立脚して明らかにすることを目的とする。経済・経営分野の先行研究は,企業自体の特徴に着目したものが多いが,企業が活動を行うのは具体的な地域であり,地域内・地域間で取引企業や関係機関など様々な主体と関係を構築している。グローバルニッチ企業の展開のメカニズムの解明は,地域経済活性化策の立案に資すると考える。
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研究実績の概要 |
近年中小企業でありながら世界市場で高い競争力をもつグローバルニッチ企業の存在が注目されている。本研究は,地方に拠点をおくグローバルニッチ企業の展開とその海外ネットワークの拡大過程の特徴を,地理学的視点(企業活動と立地・取引地域との関係性)に立脚して明らかにする。具体的には,地方にあって経済産業省が認定したグローバルトップニッチ企業の事例数の多い四国と北陸地方を対象地域として研究を進めている。研究期間は,当初2019年度からの3年間であったが,コロナ禍が続き国内外での移動が制限されたため,2年間研究期間を延長した。初年度の2019年度は,まだ新型コロナの影響がなく,基本文献を収集し,中小企業全般とグローバルニッチ企業に関する最新動向の把握に努めた。また,企業がグローバルニッチ企業へと飛躍するメカニズムを探るため,イノベーションを目的とした香川県の有力中小企業の自主的な研究会に参加し,イノベーションの試みの結果を互いに発表し合う仕掛けが会員企業のさらなるイノベーションにつながっていることを確認した。さらに,近年中小企業の進出が進むインドネシアとインドにおいて予察的調査を行った。2020-2021年度は,事例地域の有力中小企業とグローバルニッチ企業に対し,経営と戦略に関する聞き取り調査を行うとともに,海外における事例企業の海外ネットワーク構築に関する現地調査を行う予定であったが,コロナ禍のため十分な調査が行えなかった。2022年度は行動制限が幾分緩和され,四国を中心にグローバルニッチ企業への成長が見込まれる女性起業家による事業の特徴と地方金融機関による女性起業家支援プログラムに関して聞き取り調査を行った。さらに,これまでの調査結果を中間的にまとめた論文(査読有)を,研究代表者が共編者を務めSpinger社より刊行した英文学術書Management geographyに発表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究は,地方に拠点をおくグローバルニッチ企業の展開とその海外ネットワーク拡大過程の特徴を,地理学的視点に立脚して明らかにすることを目的とする。本研究では,経済産業省が認定したグローバルニッチ企業が比較的多い四国と北陸地方を事例地域とする。初年度の2019年度は,基本文献類を収集し,中小企業全般とグローバルニッチ企業に関する最新動向の把握に努めた。また,企業がグローバルニッチ企業へと飛躍するメカニズムをさぐるため,イノベーションを目的とした香川県の有力中小企業の自主的な研究会に参加し,会員企業に半年ごとにイノベーションにつながる課題を課し,その結果を互いに発表し合う仕掛けが会員企業のさらなるイノベーションにつがっていることを確認した。さらに,近年中小企業の進出が進むインドネシアとインドにおいて,JETRO事務所などでの聞き取り調査を中心とする予察的調査を行った。結果,両国とも巨大な市場をもち,様々な人的なチャンネルを活かして,今後も中小企業の進出が見込まれることが確認された。当初,つづく2020・2021年度は,事例とするグローバルニッチ企業に対し,企業経営と戦略に関する聞き取り調査を行うとともに,海外におけるネットワーク構築に関する現地調査を行う予定であったが,コロナ禍継続のため移動制限がつづき,十分な調査を行うことができなかった。そこで,予定を変更し,四国を中心に可能な現地調査を行うとともに,これまで収集したデータを元に,中間報告の形で,2021年8月の国際地理学連合(IGU)イスタンブール大会,2022年3月の日本地理学会春季大会等において研究発表を行うとともに,論文(査読有)にまとめ,2022年9月研究代表者が共編者を務めSpinger社より刊行した英文学術書Managegement Geographyに発表した。
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今後の研究の推進方策 |
再延長年に当たる2023年度は,コロナ禍の状況により以下のように研究を進めたい。コロナ禍が落ち着き収束に近い状態になった場合は,2020年度と2021年度に予定していた調査を整理合体し,まず事例地域の市役所,商工会議所等を訪問して,現地の中小企業全般と有力な中小企業に関する実地調査と一次資料の収集を行うとともに,複数の事例グローバルニッチ企業を訪問し,聞き取り調査を行いたい。具体的には,本社における聞き取り調査を通じて,経営内容(業務内容,本社機能,従業員構成,企業間取引,地域との関係など)とその課題について明らかにする。合わせて,アジア・欧米地域における事例企業の海外ネットワーク拡大に関する実地調査を行う。そこでは,どのようなパイプラインを構築して取引先を開拓し,取引ネットワークを構築していったのか,そこにどのような空間的な含意があるのかといった点に関して,現地法人・取引先での聞き取り調査を実施する。合わせて,現地JETRO事務所や日系企業団体を訪問し,進出日系中小企業の動向を把握する。一方,コロナ禍の状況が悪化し,海外,国内での現地調査が十分に行えない場合は,調査地域・調査対象を変更するなどして柔軟に対応したい。いずれの場合も,最後に研究結果をとりまとめ,地方に拠点をおくグローバルニッチ企業のグローカルな展開モデルを構築する。研究結果は,国内外の学会で発表するとともに,論文にまとめ,国内外の学術誌に投稿することを目指す。なお,中間報告的な論文はすでに発表済みである。
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