研究課題/領域番号 |
19K01205
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分04030:文化人類学および民俗学関連
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
北中 淳子 慶應義塾大学, 文学部(三田), 教授 (20383945)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2021年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2020年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2019年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | 医療人類学 / 精神医学 / 認知症 / うつ病 / 脳 / 神経 / 老い / 新健康主義 / 当事者研究 / ライフサイクル / 精神医療化 / 脳神経科学的共感 / 日本 / 当事者 / 地域精神医療 / 自己のケア / 監視 / 共感 / 自己参加型医療 / スティグマ / 医療化 |
研究開始時の研究の概要 |
「病院から地域へ」の掛け声の下、現在、地域精神医療が躍進している。認知症の早期発見により、当事者の救済が進む一方で、老いのスティグマ化への懸念もある中、認知症当事者を自律的存在として捉え直し、真に配慮的な医療を構築するためには何が必要なのか。近い将来誰もが認知症になるリスクを背負う超高齢社会において、当事者の意思を尊重する「自己参加型」医療の台頭を、①地域精神医療の歴史、②認知症を基盤とした地域精神医療の民族誌、③認知症当事者運動の先導者・英国との比較研究の三つの軸から考察する。その過程で、心や脳の健康がどのように人々の「自己のケア」の一部となり得るかを医療人類学的視点から分析する。
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研究成果の概要 |
超高齢化が進み、人々が人生のあらゆる時期において脳神経的障害の可能性を意識しながら生き始めている日本においては「ライフサイクルの精神医療化」とでも呼べる状況が進行している。人生の節目節目において発達障害、うつ病、認知症といった病の可能性を視野に入れ、身体のみならず、心や脳の健康を維持・向上させることが自然となりつつある。そのような状況下、精神医学のケアが病院から地域へと移行する過程で隆盛した「新健康主義」に着目し、特に認知症や発達障害の当事者運動が心や脳をどう語り始めているのかを分析することで、「脳神経科学的共感」と名付けたあらたな共感の可能性について論じた。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究は、国内外の一流雑誌を含めた英語・日本語雑誌論文17本、学会発表44(国際学会15)、図書5の成果と、カリフォルニア大学バークレー校やエジンバラ大学、ウェルカム財団での招聘講演や、医療の社会科学研究を先導してきた学者チームとの国際連携にもつながった。英語論文の中でも特に、「脳神経科学的共感(neurobiological empathy)」を論じたアメリカ医療人類学会誌掲載の論文はスペイン語に訳され、ライフサイクルの精神医療化とデータヘルスの関係を分析した英語論文はPsychiatric Epidemiologyに関する論文集に発表されている。
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