研究課題/領域番号 |
19K01222
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分04030:文化人類学および民俗学関連
|
研究機関 | 横浜国立大学 |
研究代表者 |
松本 尚之 横浜国立大学, 大学院都市イノベーション研究院, 教授 (80361054)
|
研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2025-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2021年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2020年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2019年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
|
キーワード | 文化人類学 / ナイジェリア / アフリカ / 移民・ディアスポラ / 王制・首長制 / 民族団体 / 移動・移民 / ディアスポラ / 移民・移動研究 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、西アフリカ・ナイジェリア出身のイボ人移民たちが、移住先の国々において故郷の文化を模して創設した王制について調査研究を行う。特に、イボ人移民たちが日本国内に設立した二つの移民王制を、主な事例として取り上げる。グローバル化の進展とともに、個々人のアイデンティティや社会生活が脱領域化するなか、アフリカの「伝統文化」やそれを表象するとされる権威者たちが果たす役割や可能性を考察することが、本研究の課題である。
|
研究実績の概要 |
本研究は、ナイジェリア出身のイボ人移民たちが、移住先の国々において故郷の文化を模して創設した王制について調査を行うことを目的とする。特に、日本を中心に東アジア諸国の移民コミュニティを対象とし、アフリカの「伝統文化」やそれを表象するとされる権威者たちが果たす役割や可能性を考察することが課題である。 2023年においては、研究計画書の研究内容に記載した「東アジアにおける移民王制の調査」(1-2)のため、香港における第一回フィールドワークを実施することができた。東アジアにおいては最初に王を名乗った人物にあたる「香港の王」(Igwe Hong Kong)に面談し、彼のライフストーリーに関する聞き取り調査を行った。加えて、香港中心街や郊外においてイボ人移民コミュニティの参与観察を行うとともに、一部住民たちに対し非構造化インタビューを実施した。それによって、香港に在住する移民たちの来歴や現地社会との関係について、一定の見地を得ることができた。また、過去に行った日本の移民コミュニティとの類似や差違の一端も明らかとなり、今後、調査研究の深化をはかるうえで参考となる知見を得ることができた。 加えて、在日イボ人コミュニティにおいても継続したフィールドワークを実施した。民族独立運動や伝統行事の参与観察を行うとともに、聞き取り調査を実施した。これらの行事は、香港においても実施されていることが明らかになり、今後調査を進めるうえでの比較考察の材料とする予定である。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究は、2019年度に開始して以降、新型コロナウイルス感染拡大の影響を受けた結果、研究計画立案当初の予定通りに調査研究を進めることが不可能であった。特に、研究の柱となっている海外(ナイジェリアおよび東アジア諸国)におけるフィールドワークを行うことが能わず、計画の修正を余儀なくされてきた。 しかしながら、2022年度には、日本およびナイジェリアでの水際対策が緩和されたことを受け、2022年9月にナイジェリアにおけるフィールドワークを実施した。さらに、2023年度には、香港における調査を行うことができ、当初予定していた研究計画について一定の成果をあげることができた。 研究計画書にあたっては、ナイジェリアおよび香港において2度の調査を行うよう計画を立てていた。そのため、両国における二回目の調査を2024年度に実施し、研究の遅れを取り戻すよう努めたい。
|
今後の研究の推進方策 |
2024年には、ナイジェリアおよび香港において二度目のフィールドワークを実施し、予定していた調査研究の完了を目指したい。 ナイジェリアにおいては、国内市場に流通する雑誌や書籍などに加え、世界的にも著名な映画産業(ノリウッド)の王制を題材とした作品群の収集・分析を行う。それによって、アフリカ国内外で流通する「アフリカの王」の表象を考察する。 また、香港における調査では、同地における擬制的王制について参与観察および聞き取り調査を行う。11月に王が主催し開催するヤムイモの収穫祭に参加し、移民たちの故郷であるナイジェリアや日本において開催される同種祭礼との比較分析を行う予定です。 これら二カ所における調査を通して、アフリカの「伝統文化」を象徴する権威者が、グローバルな社会文脈のなかで果たす役割や可能性を考察する。
|