研究課題/領域番号 |
19K01223
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分04030:文化人類学および民俗学関連
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
加賀谷 真梨 新潟大学, 人文社会科学系, 准教授 (50432042)
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研究分担者 |
榎本 千賀子 新潟大学, 人文社会科学系, 助教 (80710384)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2022年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2021年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2020年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2019年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 島嶼社会 / ケア / 高齢者介護 / 家族・親族 / 暮らし / 世代間交流 / 死 / ケガレ / 沖縄 / 離島 / 老い / 介護 / 支えあい / 共同体 / 看取り / 死穢 / 農山村集落 / 過疎高齢化 / 親族 / シンルイ / 茶飲み / 老いを支える営み / 少子高齢化 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、高齢化率の高さを高齢者が当該地で生活できていることを示す指標と積極的に読み替え、高齢化率50%を超える福島県金山町の複数の農山村集落で世代間交流や高齢者同士の営みに着目し、老いを支える多様な営みを析出する。予備調査で共同浴場が高齢者の安否確認の場になっていることや、農作業の合間の「茶飲み」を通じて互いの生活や身体の状況を把握していることが明らかになっでいるが、今後高齢者の家族・親族の援助の有無も明らかにし、上述の営みが創出されてきた社会・文化的文脈もおさえる。その上で申請者が断続的調査をしてきた沖縄・波照間島の事例と比較検討し、老いの文化の比較研究として昇華させる。
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研究実績の概要 |
加賀谷は、2022年度の在外研究期間に沖縄県宮古島市の漁村集落池間島で4カ月に亘るフィールドワークを行い、同島における老いを支える営みの諸相を明らかにした。島内の2つの介護事業所でインタビュー調査を行った他、その一つ小規模多機能型介護施設“きゅ~ぬふから舎”において、どのようにスタッフが利用者の生を支え、また、利用者がスタッフにどう接しているのかを知る貴重な機会を得た。池間島滞在中は、利用者以外の高齢者から、かつての民俗慣行に関する聞き取りを行い、彼らの現在の生活実態と暮らしの記憶との相関関係を検証した。これらの調査結果の一部を、論文「シマでおいて死ぬということ―沖縄島嶼社会における高齢者介護」(『現代日本の「看取り文化」を構想する』所収)に上梓した。 榎本は、新型感染症流行前に予定していた調査地である福島県南西部・奥会津地域で2020年に開始された奥会津デジタルアーカイブ(奥会津DA)構想の現状と課題を、櫻澤孝佑との共著論文「過疎地域における広域自治体連携とデジタルアーカイブ構築 : 奥会津デジタルアーカイブ構想の現状と課題」にまとめた。奥会津DAは、過疎化及び少子高齢化が進む地域の記憶の資源化及び資料の新たな解釈と活用の可能性の開拓を通じて、地域アイデンティティの形成に貢献すると期待されており、榎本はいわば高齢者の生を支える活動に間接的に従事している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
長期フィールド調査を敢行でき、最終年度の成果取りまとめに必要十分な調査データを入手できたため。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、沖縄島嶼部の個々の文化的背景に留意しながら、波照間島と池間島の老いを支える営みに関する比較検討を行う。個人の生理的現象である「老い」に他者がどこまでかかわれるか、それに対して社会文化的要因がどこまで作用しているのかを考察する。別言すると、文化と「老い」との相関関係を理論的に考察し、老いが帯びる正負の価値に文化がどう介在し、そのいずれに振れるのかを検討し、老年学的研究として大成させる。研究成果は2023年度に日本民俗学会や比較家族史学会にて発表を行う予定である。
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