研究課題/領域番号 |
19K01224
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分04030:文化人類学および民俗学関連
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
北村 毅 大阪大学, 大学院人文学研究科(人文学専攻、芸術学専攻、日本学専攻), 教授 (00454116)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2022年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2021年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2020年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2019年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | 沖縄 / 医療人類学 / 子ども / 軍事環境 / 沖縄戦 |
研究開始時の研究の概要 |
第一に、沖縄戦で子どもが置かれた状況に注目しながら、「子ども」という視点から戦争の証言を整理し、子どもの戦争体験の特質について検討する。第二に、沖縄戦中から米軍が沖縄各地に設置した孤児院ならびに米軍野戦病院の精神科に関する公文書などの分析に加え、戦争孤児への聞き取りによって、精神保健・福祉の観点から子どもやコミュニティに対する戦争の影響を検証する。第三に、沖縄において虐待の問題に直面した個人の生活史と家族史を詳細に聞き取り、数世代にわたる家族の歴史を丹念に読み解いていくことで、沖縄戦から連なる暴力的体験や軍事環境が人びとの心身に与えてきた影響について考察する。
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研究成果の概要 |
本研究を通して、沖縄戦による人的・社会関係資本の喪失、ならびに、米軍統治下の生活環境の軍事化に伴う社会変動によって、子どもを取り巻く環境がどのように変化してきたのかを検証し、軍事環境が子どもに与えてきた心理的影響の実態を一定程度明らかにすることができた。海外の先行研究から多くの知見を得ながら研究を進め、派生的な研究展開も含めた成果は、雑誌論文4件、学会発表2件、図書3件の合計9件となる。コロナ禍で予期せぬさまざまな制約を課せられる中での調査研究であったが、それでも多分野の研究者と交流し、当事者との出会いを通して研究と社会との接点を強く意識しながら研究を展開できたことの意義は非常に大きかった。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究は、沖縄を取り巻く精神保健上の問題の中でも、子どもに対する暴力、ならびに、子どもによる暴力について取り上げ、特に前者について沖縄戦とその後の軍事環境による精神的被害との関わりのもとで検証しようとするものである。戦争(状態)と子どもの精神的被害との関連について検証する研究は少なく、本研究では、この問題に沖縄を事例として医療人類学的にアプローチした。家族やコミュニティの回復に向けた支援のあり方を考えるためにも、戦争という最大級の人災が人びとの心に与えてきた長期的影響について、家族やコミュニティの歴史を紐解くことで明らかにしようとする本研究の学術的・社会的意義は大きいといえる。
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