研究課題/領域番号 |
19K01225
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分04030:文化人類学および民俗学関連
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
中谷 文美 岡山大学, 文明動態学研究所, 教授 (90288697)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2023年度: 260千円 (直接経費: 200千円、間接経費: 60千円)
2022年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2021年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2020年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2019年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | 伝統染織 / 仲介者 / 消費 / 文化遺産 / 手仕事と機械 / オーセンティシティ / 文化横断的消費 / 物質文化 / 商品化 / 観光化 / インドネシア / エシカルファッション / フェアトレード / アジア / グローバル化 |
研究開始時の研究の概要 |
特定の文化的・歴史的背景のもとに在来の技術を用いて生産され, 使用されてきた伝統染織品を研究対象とする。それらの染織品が従来の生産と使用の文脈を離れた市場に流通するようになった過程(=グローバルな商品展開)に注目し,文化人類学の視点と手法を用いて,その過程における多様な仲介者の役割と影響を分析する。 さまざまな形で生産と消費の現場をつなぐアクター(ファッション・アパレル関係者,NGO,フェアトレード団体等)が多様な文脈で活動を展開してきた結果,伝統染織品の価値づけにどのような変化が生じてきたかという点を検証するほか,伝統染織品の生産が継続する要因は何であるかという問いに取り組む。
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研究実績の概要 |
今年度も国内において、伝統染織の生産・流通・消費の各段階における仲介者の役割についてのインタビュー調査および参与観察を実施した。昨年度に続き、アジア地域および日本の伝統染織品の収集・展示を行っている博物館等を訪問し、情報・資料収集を行ったほか、和装産業における流通の問題にも取り組んだ。 伝統染織品については、一定の生活圏内で生産と消費の輪が完結するような状況が続いている事例は少数となり、それゆえに、生産現場の外部に存在するアクターの関与がさまざまな形で重要となってきた。とくにグローバルな市場においては、「手仕事」であることにまつわるオーセンティシティを重要視する傾向が強まっている。だが同時に、生産者やローカルな消費者にとってもオーセンティシティが意味を持つ状況が生まれてきた。他方で、素材や技法、生産形態の変化の過程において、「プリント化」と呼べるような現象も生じている。これは、かつて手作業によって生み出されていた布製品がシルクスクリーンや機械プリントなどにより大量生産される現象をさすが、そればかりでなく、技法の変化により特定の布に表現される色や文様の意匠だけが取り出され、前景化されていくことも意味する。オーセンティシティの源泉は多様であるため、ここでプリント化と呼ぶ現象が単純にオーセンティシティを損なう方向に働くとは限らない。ローカルな布の着用者にとって、自らのアイデンティティを表明する手段としての布は、従来と異なる素材や技法に製作されたとしても、変わらずオーセンティックであると判断できる可能性もあるからだ。 誰がどのような文脈でプリント化を受け入れ、あるいは拒絶するのかを丁寧に検討することで、伝統染織の生産・流通・消費に関わる多様な仲介者の相互作用を見通すことが可能となる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
代表者の所属機関の変更などに伴い、今年度も海外調査を実施するに至らなかった。そのため当初の研究計画は十分に遂行できていない。他方、国内調査は一定程度充実しており、伝統染織の生産・流通・消費の各段階における仲介者の役割について、考察を進めることができている。
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今後の研究の推進方策 |
最終年度となる2024年度には、研究計画にあるラオスおよびインドネシアでの調査を実施する。これまで蓄積した国内調査での知見を踏まえ、総合的な分析を実施する。
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