研究課題/領域番号 |
19K01226
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分04030:文化人類学および民俗学関連
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
関 恒樹 広島大学, 人間社会科学研究科(国), 教授 (30346530)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2021年度)
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配分額 *注記 |
4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2021年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2020年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2019年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 都市開発 / 郊外化 / ジェントリフィケーション / スラム / 再定住 / 市民社会 / グローバルサウス / フィリピン / 都市貧困 / 統治性 / 社会開発 / ネオリベラリズム / 貧困 / 社会的つながり / 市民社会論 / 社会性 |
研究開始時の研究の概要 |
グローバリゼーションとともに浸透する新たなリスクと不確実性の中で、市民社会的なつながりや連帯の構築は、今日喫緊の課題となっている。しかし、近代西欧に端を発する市民社会は、解放と同時に抑圧と排除をもたらす二面性を有していた。本研究では、グローバル・サウスの地域社会において歴史的に蓄積されてきた、モラル、慣習、人々の多様かつ豊饒なつながりの諸実践、すなわちヴァナキュラーな社会性に注目しつつ、解放と抑圧という二面性を克服する新たな市民社会論の提示を試みるものである。その目的のために、本研究では、フィリピンの都市変容とその過程に見出される「ヴァナキュラー市民社会」の動態に注目したい。
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研究成果の概要 |
本研究では、フィリピン・マニラ首都圏をはじめ、グローバル・サウスの都市の脆弱性と不確実性の背景として、ネオリベラリズムに基づく都市開発によって生じる「生産性」の空間と「非生産性」の空間の差異化と分断に注目した。近年のマニラにおいては、一方では「生産性」の空間としての複合ビジネス地区が各所に誕生している。他方で、ジェントリフィケーションによる都市空間の分断によって貧困層の周辺化と脆弱性が顕在化する。そのような不確実性の中において、あらたな市民社会的つながりが萌芽的に見出される状況を明らかにした。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究では、現代世界における「社会的なもの」の再編とリスク統治の今日的あり様を、フィリピンにおける脆弱性とレジリエンスの民族誌に基づいて明らかにした。社会政策の実施過程を、人々の生の保障のための相互性としての「社会的なもの」と、生産性や効率を追求する「経済的なもの」の相互浸透の局面に注目して包括的に論じた。このような研究は、グローバルサウスの視座からの、新しい市民社会論、ヴァナキュラーな公共性に向けた議論として、人類学的な意義を持つと同時に、ポストネオリベラリズムの社会的紐帯の模索が続く現代社会に向けた、社会的意義を持つといえる。
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