研究課題/領域番号 |
19K01228
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分04030:文化人類学および民俗学関連
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研究機関 | 九州大学 (2020-2022) 神戸大学 (2019) |
研究代表者 |
阿部 哲 九州大学, 比較社会文化研究院, 助教 (90732660)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
3,640千円 (直接経費: 2,800千円、間接経費: 840千円)
2021年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2020年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2019年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
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キーワード | イスラーム知 / コロナ / 公衆衛生 / 科学知 / 環境問題 / イラン / 文化人類学 / イスラーム / 近代西洋科学知 / 近代性 / 実践理論 / 世俗化・世俗主義 / 公共性 / 宗教社会学 / イスラーム伝統 / 民族誌(文化人類学) / 科学技術 / 自然概念 / イラン・中東地域 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、イラン人の環境意識を探り、いかにして環境科学がイスラームの枠組みに組み込まれるのか、という課題に取り組む。近年、イランでは大気汚染などの環境問題が日常化し、その性急なる解決が論及されている。政府は科学技術を駆使してその対策に乗り出す一方で、問題の解決へ向けて宗教指導者と連携しながらイスラーム的環境倫理観を市民へ発信している。科学知とイスラーム、という一見相反するパラダイムが環境分野において併存し、市民はこれらの言説を通して環境意識を形成している。本調査は、環境問題をめぐり市民の間で活発化し始めたイスラーム的視座に注目することで変化し続けるイスラームの多様性を理解することを目的とする。
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研究実績の概要 |
コロナ禍の影響により、本年度も、オンライン媒体を中心に、データ収集を行い、諸科学分野のイスラーム言説について調査を進めた。昨年度の調査において、イランでは、コロナに関する言説が多方面に伸展していることが明らかとなり、今年度は、環境分野に加えて、公衆衛生に係る宗教指導者の語りや支援活動、またその切り口に着目し、イスラーム伝統の新たな展開のあり方について示唆を得ることができた。また、資料文献調査と併せて、行動制限はあったものの、コロナ禍以後、初めてイランを訪れ、フィールド調査を実施することもできた。未だ感染症の影響が残る環境下での調査であったため、調査計画が立てづらく、十分なフィールド調査とは言えなかったものの、コロナ禍での人々の生活ぶりに直に触れることができ、今後、本課題を継続していく上で有意義な調査機会となった。今後は、本年度の調査研究から得られた成果に基づいて、来年度の研究計画を熟考し、最終年度の成果発表に向けて、更なるデータの蓄積や補完のあり方について検討していく必要がある。 本年度の研究成果は、報告者を中心とした、コロナ禍を題材にした国際研究プロジェクトの中で議論を深めた後、共編著者として共同研究者の論考を1冊の英語論集としてまとめあげ、刊行(決定)にこぎつけることができた。加えて、本年度の研究成果に基づいて、複数の国際学会で発表を行った。また、日本語、英語による単著論文の執筆にも取り組み、研究成果を広く社会に発信することができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
コロナ禍の影響により、特にフィールド調査計画の変更を強いられたため、研究の進捗はやや遅れている。来年度は、オンライン媒体資料を通じて調査を継続しながら、現地調査も実施し、本課題の研究成果をまとめる。
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今後の研究の推進方策 |
来年度は、これまで得られた資料を統合し、環境分野におけるイスラーム知に基づいた言説や実践のあり方を整理し、研究成果としてまとめ上げていく。さらに、コロナ禍で科学知をめぐる言説が多様化している諸科学分野のイスラーム的伝統についても調査、分析を重ね、重層的にその展開のあり方を考察し、研究成果の発信を目指す。最終研究成果は国内外の学会において発表を行い、また、単著書の執筆にも取り組む。
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