研究課題/領域番号 |
19K01229
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分04030:文化人類学および民俗学関連
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研究機関 | 静岡県立大学 |
研究代表者 |
奈倉 京子 静岡県立大学, 国際関係学部, 教授 (70555119)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
3,640千円 (直接経費: 2,800千円、間接経費: 840千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2021年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2020年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2019年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
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キーワード | 障害者家族 / 中国 / ポスト社会主義的状況 / 中間的領域/組織 / 「新しい社会性」 / 家族回帰 / ライフストーリー / 民間組織 / ポスト社会主義 / ソーシャルワーク / 親密圏と公共圏 / 障害のある子どもをもつ親 / 社会的弱者 / 文化創造 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、中国のポスト社会主義的状況において、「官」と「民」、「公」と「私」の関係および境界が再編されつつあるなかで、従来の社会主義国家・中国における国家統合・国民統合原理とは異なる、生活者レベルにおける社会的弱者の「文化」創造および共生論理について、障害者を対象とし、実証的調査を行うことにより検討するものである。そのために、中国の障害者を支援する民間の公益慈善組織と障害者をもつ家族に焦点を当て、マクロな社会制度のレベルと、ミクロな当事者家族のレベルの双方から調査研究を実施する。
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研究実績の概要 |
今年度は、日本、東南アジア、アフリカで障害者研究をおこなっている研究者と意見交換をし、中国における障害者家族と支援組織に関する現地調査の知見の特徴を明らかにすることができた。同時に、他の地域の障害研究の知見を学ぶことから、「障害者/健常者」の二項対立的な区分を乗り越えるための「共生の文化」は如何にして形成されるのかを探究することことができた。その成果は、『文化人類学』の特集としてまとめた。 特集では、マジョリティとマイノリティの区別を取り払い、顔の見える具体的な人間が集う場において、多様な人間の相互行為と協働関係による「カルティベーション(cultivation, 耕すこと)」の実践に着目した。そのような実践から生まれる状況的で一貫性のない作法、技法、発想を「共生の文化」と捉えた。これに対し、公的な場において政治家や専門家により発案された普遍性、一貫性のある規範、抽象的な理念を「共生論理」と表現し、これまで社会運動や障害研究のよって形成されてきた、障害をめぐる「共生論理」と差異化し、「共生論理」よりもそれぞれの場における「共生の文化」を生み出すための方法を探究することができた。さらに、文化相対主義的視点に立ち、障害というパースペクティブのより、「一元的な近代化」の問題を指摘することができた。 このような研究交流により、改めて社会主義国家・中国の障害者とその家族の生の営みの特徴を明らかにすることができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
コロナ感染拡大の影響を受け、予定していた中国での追跡調査を実施することが困難であったが、その代わりに日本、東南アジア、アフリカで障害に関する調査研究をしている研究者と学術交流をし、本研究のテーマである「共生論理」「文化創造」について思考を深めることができたため。
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今後の研究の推進方策 |
研究計画書にもとづき、中国での追跡調査を実施するとともに、これまでの調査研究で得られた、中国の社会的弱者支援や知的障害者に関する政策や家族の生の営みに関する知見を、学会での報告や論文にまとめることで学術的貢献を目指し、さらに、シンポジウムもしくはセミナーを開催して社会へ還元することをおこなう予定である。
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