研究課題/領域番号 |
19K01239
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分04030:文化人類学および民俗学関連
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研究機関 | 愛知淑徳大学 (2022) 国立民族学博物館 (2019-2021) |
研究代表者 |
中村 真里絵 愛知淑徳大学, 交流文化学部, 助教 (20647424)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
3,900千円 (直接経費: 3,000千円、間接経費: 900千円)
2022年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2021年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2020年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2019年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
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キーワード | バンチェン遺跡 / 考古遺物 / 博物館 / エスニシティ / コレクション / 古美術品 / 古美術品化 / 真正性 / 土器 / 世界遺産 / バーンチェン遺跡 / タイ / 遺物 / グローバル市場 |
研究開始時の研究の概要 |
1966年にタイ国でバンチェン遺跡が発見されて以降、同遺跡は世界中の注目を浴び、遺物は古美術界の一大ブームとなって大量にアメリカや日本に散逸したことで知られる。しかし、この出来事は古代遺跡をめぐる一つのエピソードに過ぎず、これまで学術的な研究対象として昇華することはなかった。本研究は、遺跡から出土した遺物が古美術品化し、グローバルな流通ネットワークに接続する際、人々が遺物をいかに価値づけしていくのかを明らかにするものである。
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研究実績の概要 |
2022年度は、主にバンチェン遺跡にかかわる3つの博物館、バンチェン国立博物館、タイプアン・バンチェン博物館、そして日本のヨコタ博物館の調査研究を実施した。 1981年に開館したバンチェンにある国立博物館は考古資料を中心とした博物館であったが、2015年に村人のエスニシティでもあるタイプアンの民族展示室を開設した。2017年に開館したタイプアン・バンチェン博物館は、村人の手により創設されたコミュニティ博物館である。この博物館の設立の目的や経緯、収蔵品について、村人へ聞き取り調査を実施した。この博物館は村人から寄贈された生活用品、タイプアンの文化の説明パネルを主たる展示品としており、より村人たちの生活に密着した博物館であった。調査の結果から、コミュニティ博物館は、タイプアンであると同時にバンチェン遺跡に住む村人であること、この二つのアイデンティティが同居する空間として機能していることがわかった。この点においてコミュニティ博物館は、国立博物館とは異なる役割を持っていた。このようなバンチェンにおける博物館の特徴はタイの地方文化を重視する政治動向と連動しているといえる。 ヨコタ博物館は、愛知県新城市にある個人コレクションを基礎とする博物館である。バンチェン土器等を中心に約4000点ある収蔵品は、故横田正臣氏が1970年代からタイやラオスに私費を投じて渡航し収集してきたもので、日本における東南アジアに関する個人コレクションとしては類をみない規模を誇る。しかし、貴重な資料である一方で、体系的な整理が進んでいない状態におかれてきた。本年度はコレクションの全体像を明らかにするため整理に着手し、まずは横田氏が残した記録や手記の全て、さらにはフィルム資料の一部をデジタル化した。それにより、コレクションの学術的価値が明らかになりつつある。 以上の研究成果を論文と口頭発表にて報告した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
コロナ禍により、2年半、海外調査ができなかったことが影響し、当初の予定よりも遅れが生じた。そのため、比較的人との接触が制限される博物館へ焦点を当てて、調査研究を実施し、一定の成果をあげた。
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今後の研究の推進方策 |
本年度、着手したヨコタ博物館の写真資料のデジタル化と収蔵品の整理を継続し、コレクションの全体像を明らかにし、1970年代以降の日本と東南アジアの関係を再考する。また、コロナ禍により制限されていたバンチェン遺跡の現地調査を本格的に再開する他、これまで収集した調査資料をまとめ、研究成果として学会や論文にて発表する。
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