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リモートセンシングおよびGISによるニヴフの植物資源採取における空間利用の解析

研究課題

研究課題/領域番号 19K01240
研究種目

基盤研究(C)

配分区分基金
応募区分一般
審査区分 小区分04030:文化人類学および民俗学関連
研究機関北海道博物館

研究代表者

水島 未記  北海道博物館, 研究部, 学芸主幹 (70270585)

研究分担者 丹菊 逸治  北海道大学, アイヌ・先住民研究センター, 准教授 (80397009)
研究期間 (年度) 2019-04-01 – 2025-03-31
研究課題ステータス 交付 (2023年度)
配分額 *注記
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2022年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2021年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2020年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2019年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
キーワード民族植物学 / 植物利用 / 民俗名称 / 植物名 / サハリン / アムール川河口域 / 湿原 / 北海道 / アムール河口
研究開始時の研究の概要

ニヴフ民族の伝統的な居住域はサハリン北部およびアムール川河口地域に分かれるが、両地域では植生の構成が異なり、かつ植物資源利用文化にも違いが見られることが示唆されている。同じ民族でありながら自然資源の利用形態が異なるこの例について解析することで、周辺の自然環境が自然資源の利用に関わる文化にどのような影響を与えているのかを明らかにすることができる。
衛星画像を活用したリモートセンシングによって両地域の植生を解析し、食用植物の採集に好適な環境の分布パターンや集落との位置関係等を明らかにする。そして、植物の採集における空間利用の形態に関する地域間の差異と植生の差異との関連を解析する。

研究実績の概要

当初計画で予定していたサハリン北部およびアムール川河口域での現地調査が新型コロナウイルス感染症の流行などにより実施できず、令和4年度の代替調査実施を目指したが感染症流行の継続およびロシアのウクライナへの軍事侵攻により実現不可能となり、研究期間を延長した。感染症はほぼ終息した一方でロシアの戦争状態は続き、令和5年度も現地調査は不可能であったため、当年度は前年度までに引き続いてサハリンおよび隣接地域の自然環境・自然利用文化等に関連する情報、リモートセンシング等に関連する技術的な情報、ニヴフおよび近隣の先住民の伝統文化に関する情報の収集を行い、次年度の現地調査実現に一縷の望みをかけていた。
しかしながらその可能性も極めて低くなったため、当初目指していたリモートセンシングのデータに基づく分析は困難であるとの判断に至った。このため、並行して新たに研究組織外の研究者の協力を得ながら、現地での野外調査を行わずに遂行できる研究手法を模索した。研究組織内外の研究者とのオンラインを主体としたブレインストーミングの中で、古い文献に見られるニヴフおよび近隣の先住民の植物の民俗名称を分析・比較することで、間接的にニヴフの伝統的な植物資源利用について把握でき、かつ、それをもたらした環境的な要因について、その一部でも推測できるという新たな視点を見いだした。中でも、1868年に刊行された植物相調査の報告の中で相当量の植物の民俗名称が記録されているとの情報を得て、この文献を主な対象として分析を進めた。
また、一般市民への普及として、前年度に続いて研究代表者の所属博物館の企画展内に「サハリン先住民族の暮らしを支えてきた湿原」というコーナーを設け、サハリン先住民族の植物採集の場として最も重要な湿原に関して、環境や利用植物、利用法等に関して、過去に採集した実物標本および写真を多数用いて紹介した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

上記のとおり世界的な新型コロナウイルス感染症の流行およびロシアのウクライナ侵攻により当初計画していた現地調査がまったく実施できず、現地データが得られなかった。
このため現地での野外調査を行わずに遂行できる研究手法を模索し、最終的に文献の分析による調査を開始したが、これに関してはまだ分析の途上にあり、研究期間全体としては「やや遅れている」と言える。
このため、再度の期間延長を行った。

今後の研究の推進方策

本研究課題はサハリン北部およびアムール川河口域での現地野外調査の実施を前提とした内容で計画していたが、これが実現できない状況である。令和6年度も現地調査は不可能である前提で、研究計画を大きく見直さざるを得なくなった。上記のとおり、前年度から19世紀の文献の分析を主体とした研究という野外調査を行わずに遂行できる研究手法にも着手したが、こちらの手法に注力する方針に切り替え、引き続き研究を進める。研究は研究組織外の言語学分野の研究者の協力を得て、共同で行う。
分析の対象とする文献は主に1868年に刊行されたアムール地域とサハリン島の植物相調査に関する報告である。まず、同報告の中で記録されているニヴフ語・ウイルタ語・サハリンアイヌ語の植物の民俗名称が現在の植物分類においてどの種(あるいはグループ)に相当するのかを、日本側の最新の文献に基づいて同定し、リストを作成する。その上で、言語間の借用関係などを分析することにより、植物資源利用文化における各植物種の位置づけなどを分析する計画である。
8月にイエナ(ドイツ)のマックス・プランク人類史科学研究所で開催予定の国際シンポジウムでその成果の一部を発表し、参加する多分野の研究者と意見交換を行い、精度を高める。その後、分析結果を論文としてまとめる予定である。

報告書

(5件)
  • 2023 実施状況報告書
  • 2022 実施状況報告書
  • 2021 実施状況報告書
  • 2020 実施状況報告書
  • 2019 実施状況報告書
  • 研究成果

    (14件)

すべて 2022 2021 2020 2019

すべて 雑誌論文 (4件) (うちオープンアクセス 1件) 学会発表 (3件) (うち国際学会 2件、 招待講演 1件) 図書 (7件)

  • [雑誌論文] 「ことばと文化にみるアイヌ民族の歴史」(第3回文化財講演会)2021

    • 著者名/発表者名
      丹菊逸治
    • 雑誌名

      文化情報

      巻: 383 ページ: 6-6

    • 関連する報告書
      2021 実施状況報告書
  • [雑誌論文] 徳富南湿原の植物相2021

    • 著者名/発表者名
      水島未記・齋藤央・首藤光太郎・表渓太・小川貴由樹・森 紘隆・内田暁友・武田忠義
    • 雑誌名

      北海道博物館研究紀要

      巻: 6 ページ: 51-66

    • NAID

      40022738210

    • 関連する報告書
      2020 実施状況報告書
    • オープンアクセス
  • [雑誌論文] アイヌ語のオノマトペ2021

    • 著者名/発表者名
      丹菊逸治
    • 雑誌名

      早稲田文学

      巻: 2021年春号 ページ: 134-145

    • 関連する報告書
      2020 実施状況報告書
  • [雑誌論文] アイヌ語復興のこれまでとこれから2020

    • 著者名/発表者名
      丹菊逸治
    • 雑誌名

      民族學界

      巻: 45 ページ: 5-48

    • 関連する報告書
      2020 実施状況報告書
  • [学会発表] Common words among Uilta, Nivkh and Ainu languages2022

    • 著者名/発表者名
      丹菊逸治
    • 学会等名
      Tutorial on prehistoric contact between speakers of Transeurasian and neighbouring languages
    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
    • 国際学会
  • [学会発表] ことばと文化にみるアイヌ民族の歴史2021

    • 著者名/発表者名
      丹菊逸治
    • 学会等名
      北海道文化財保護協会 講演会
    • 関連する報告書
      2020 実施状況報告書
    • 招待講演
  • [学会発表] ニヴフ歌謡とアイヌ歌謡2019

    • 著者名/発表者名
      丹菊逸治
    • 学会等名
      国際カンファレンス「パレオアジア諸民族のフォークロア」
    • 関連する報告書
      2019 実施状況報告書
    • 国際学会
  • [図書] アイヌ韻文の朗唱法(北海道大学アイヌ・先住民研究センター報告書)2022

    • 著者名/発表者名
      丹菊逸治
    • 総ページ数
      312
    • 出版者
      北海道大学アイヌ・先住民研究センター
    • 関連する報告書
      2021 実施状況報告書
  • [図書] 北海道博物館編『あっちこっち湿地 ~自然と歴史をめぐる旅~ GUIDE BOOK』(特別展図録)2021

    • 著者名/発表者名
      水島未記 ほか(分担執筆)
    • 総ページ数
      134
    • 出版者
      北海道博物館
    • 関連する報告書
      2021 実施状況報告書
  • [図書] 清水雄一・伊豆倉哲編『第20回縄文コンテンポラリー展inふなばし とびはくにもぐろう!~縄文時代と対話する』2021

    • 著者名/発表者名
      丹菊逸治 ほか(分担執筆)
    • 総ページ数
      36
    • 出版者
      船橋市教育委員会飛ノ台史跡公園博物館/船橋市縄文コンテンポラリー展実行委員会(製作・発行)
    • 関連する報告書
      2021 実施状況報告書
  • [図書] ニナ・ニトクク伝承集2021

    • 著者名/発表者名
      丹菊逸治
    • 総ページ数
      57
    • 出版者
      北海道大学アイヌ・先住民センター
    • 関連する報告書
      2020 実施状況報告書
  • [図書] 18世紀アイヌ押韻文2021

    • 著者名/発表者名
      丹菊逸治
    • 総ページ数
      77
    • 出版者
      北海道大学アイヌ・先住民センター
    • 関連する報告書
      2020 実施状況報告書
  • [図書] ナジェジダ・タンジナ伝承集(ロシア語版)2020

    • 著者名/発表者名
      丹菊逸治(編集)
    • 総ページ数
      64
    • 出版者
      北海道大学アイヌ・先住民研究センター
    • 関連する報告書
      2019 実施状況報告書
  • [図書] アイヌ韻文の行頭韻2020

    • 著者名/発表者名
      丹菊逸治
    • 総ページ数
      127
    • 出版者
      北海道大学アイヌ・先住民研究センター
    • 関連する報告書
      2019 実施状況報告書

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公開日: 2019-04-18   更新日: 2024-12-25  

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