研究課題/領域番号 |
19K01246
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分05010:基礎法学関連
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研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
櫻井 利夫 金沢大学, 人間社会研究域, 客員研究員 (80170645)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
3,250千円 (直接経費: 2,500千円、間接経費: 750千円)
2022年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2021年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2020年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2019年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
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キーワード | ヴィッテルスバッハ家 / シャイアン城塞 / 城塞支配権 / シャテルニー / 付属物 / 罰令権力 / 家修道院 / 寄進所領 / ドイツ中世盛期・後期 / 城塞支配権の発展 / 城塞支配権発展の歴史的意義 / 教会フォークタイ / ドイツ中世 / 封建社会 / 城塞支配権の歴史的意義 / 城塞支配権から地方行政組織への発展 / アムト制 / ドイツ封建社会 / 歴史的意義 / シャテルニー(城主支配権) / 中世盛期・後期 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、1.ドイツ中世盛期の城塞支配権がフランスのシャテルニーと同質的なバン権力であることを多数の城塞を例としつつ究明し、またこの時期をドイツのシャテルニー段階として措定しうること、2.荘園制→城塞支配権=シャテルニー→領国の地方行政組織=アムト制という発展線をなすことを究明する。また究極的な研究目的は、軍事権力、バン権力、荘園支配権等の統合体たる城塞支配権は荘園制の構造転換に対処するために荘園制の再編成を推進すると同時に、新たな構成体たる領国の地方行政組織の基礎をなすという、無視しえない重要な歴史的役割を果たしたこと、つまり歴史における起動力の意味をもつことを究明することである。
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研究実績の概要 |
南ドイツ・バイエルンの貴族ヴィッテルスバッハ家の最初期の城塞シャイアン(史料初出は1070年代)の周囲に位置する支配権的諸権利の総体を城塞支配権、つまりフランス史の所謂シャテルニーとして把握しうることを究明する研究を行なった。当初この家系はこの城塞に因みシャイアン伯と名乗ったが、これはこの伯が支配権をこの城塞に集中化しこの城塞を基準として編成し始めたことを意味する。また一方で城塞が支配権形成の中核をなしたのに対し、城塞の周囲に位置する支配権は「付属物」と考えられた。「付属物」を指す史料の用語は一般に、ラテン語でattinentia、appertinentia等である。シャイアン城塞の付属物を示す史料の用語はattinentiaである。中世ラテン語辞典によると、これらの用語の語義は城主の罰令権力(バン権力Banngewalt)が行使される領域、つまり城主の支配領域、城塞支配権=シャテルニーである。 次にシャイアン伯が城塞の周囲で保持した支配権、換言すれば「付属物」の具体的内容を究明することに努めた。伯は1077年バイリッシュツェル、1085年フィッシュバッハウ、1104年アイゼンホーフェンに家修道院を建立し、最後に1119年本拠城塞シャイアンを修道院に転換する形で家修道院シャイアンを建立した。伯は家修道院建立の度毎に家系の所領を寄進したために、寄進に関する史料を研究すると同時に、他方でこの家系はいかなる教会修道院のフォークトVogt(代理人)を務めフォークタイVogtei(フォークトの職権)特に典型的な罰令権力(その代表は裁判権)を行使したのかを研究した。 従来日本とドイツの法制史・歴史学において城塞支配権は研究上の空隙として残されてきた。本研究は従来殆ど未開拓な草創期の貴族城塞の内部構造を究明することを通じて、この空隙を埋めようと試みる貴重な研究と評価される。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
申請者は令和4年度にバイリッシュツェルとフィッシュバッハウ両修道院に対し伯が寄進した所領の位置や内容を究明し、後掲のように、すでに大学の紀要に発表した。
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今後の研究の推進方策 |
令和4年度に続き令和5年度に、残る家修道院アイゼンホーフェンへの寄進財産、さらにフライジング司教教会とその司教座聖堂参事会、キューバッハとヴァイエンユテーファンの両修道院への寄進財産の位置と内容、及びを特にフォークタイに関し具体的に究明しつつあり、その研究成果を令和5年度に大学の紀要に発表する予定である。
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