研究課題/領域番号 |
19K01250
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分05010:基礎法学関連
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研究機関 | 熊本大学 |
研究代表者 |
安高 啓明 熊本大学, 大学院人文社会科学研究部(文), 准教授 (30548889)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2023年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2022年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2021年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2020年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2019年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
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キーワード | 熊本藩 / 刑法草書 / 徒刑 / 人足寄場 / 公事方御定書 / 中国律 / 近代的自由刑 / 天草 / 日田 / 幕領預所 / 仕置 / 刑法方 / 幕領 / 佐賀藩 / 徒罪 / 懲役 / 細川重賢 / 会津藩 |
研究開始時の研究の概要 |
熊本藩が編纂した『刑法草書』は、細川重賢の肝煎りの事業で、宝暦の改革の一環として成立した。その刑法典は中国明律を参考にしながら独自の法体系を構築しており、幕府はもとより、各藩にも影響を与えたといわれる。広く公開する趣旨で作成された刑法草書は各地に伝播していることは先学が指摘しているところであるが、本研究の目的はその過程を実証的に明らかにするとともに、当該地の司法制度にどのように組み込まれていったのかを検討していくものである。そうしたなかで形成された法概念を熊本を中心に、佐賀藩、福岡藩、会津藩、そして幕府の司法制度から分析していく。
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研究成果の概要 |
本研究課題は、熊本藩刑法草書が他藩に与えた影響を検討するとともに、徒刑を導入した藩、幕府の人足寄場創設への影響などを検討するものである。刑法草書は、中国明律の影響を受けた刑法典であること、成立・運用後も、明律・清律を参照している実態が確認され、熊本藩法制が幕府はもとより中国法制の影響を受け、これを参照し取り入れた藩にも同様の性格がみられた。また、刑法草書で象徴的な刑罰である徒刑を巡っては、佐賀藩は熊本藩を参考にして導入しているものの、運用に関しては柔軟性のあるものとなっていた。幕府人足寄場への影響も先論で指摘されている通りで、また、幕領長崎でも溜にその性格が見られることが確認できた。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
幕藩体制の法概念の前提となる刑法典は、幕府法の範疇にありながら藩独自で立法化されていた。それは、幕府法に傾倒する意向が強いもの、中国法のものとに分類することができるが、両者を分断するものではない。熊本藩を事例にみれば両者を取りれつつ運用がなされ法概念が形成されていた。それは徒刑をみても明らかで、これを取り入れた幕府や諸藩にも同様の傾向にあった。しかし近代行刑の先駆的な刑罰とされる徒刑も「仁政」を元にしている以上、近世的要素を排除しきれず、運用には課題を残すことになった。こうした歴史的研究による成果を通じて、今後の日本法制のあるべき姿を模索することができる材料を提示することができた。
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