研究課題/領域番号 |
19K01254
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分05010:基礎法学関連
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研究機関 | 同志社大学 |
研究代表者 |
西村 安博 同志社大学, 法学部, 教授 (90274414)
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研究分担者 |
岩元 修一 宇部工業高等専門学校, 一般科, 嘱託教授 (00175217)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2023年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2022年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2021年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2020年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2019年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
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キーワード | 和与 / 悪口 / 御成敗式目 / 入門 / 覆勘 / 私和与 / 裁判 / 中世 / 訴陳 / 鎌倉幕府 / 南北朝 / 室町 / 訴陳状 / 東大寺文書 / 建武政権 / 室町幕府 / 悪口之咎 / 沙汰付 / 特別訴訟手続 / 安堵外題法 / 事実認定 / 手続的判断 / 日本中世 / 不論理非 |
研究開始時の研究の概要 |
(1)日本中世の裁判手続過程において、裁判所が判決を導く過程において行った「事実認定」「手続的判断(手続的裁量)」の実態は未解明である。 (2)本研究は所務沙汰(民事訴訟)を主な対象とし、訴訟当事者の様々な主張やそれらの根拠とされた証拠(文書)に関して、裁判所は「いずれの事柄」を「いかなる意味」において事実認定しこれを判決の基礎とする中で、最終的にはいかなる「手続的判断」を行うことにより判決を導くに至ったのかを解明する。 (3)具体的には、もっぱら武家の裁判所(鎌倉幕府・建武政権・室町幕府)が発給した判決文書を検討の主な対象とし、訴訟当事者が応酬する中で裁判所に提出した訴陳状等をも広く参照する。
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研究実績の概要 |
(1)本年度も昨年度に引き続き、日本中世の裁判手続(主として所務沙汰)にみられる事実認定のあり方および手続的判断の実態を解明するための基礎的な作業を試みた。 (2)研究代表者は、裁判手続上の和与に関して残された問題について再検討を進める一方で、鎌倉幕府が御成敗式目第12条で規定する「悪口之咎」に関して、関係論文および著書を網羅的に蒐集・整理することを通じて、裁判所の事実認定のあり方、それを判決の基礎としていかなる手続的判断が行われていたのかについて、再検討を試みるための理論的・学説史的前提を確認する作業を行った。 その際には昨年度に引き続き、「悪口」に関するこれまでの通説的理解を導いている山本幸司「恥辱と悪口―式目悪口財ノート」(網野善彦他編『ことばの文化史 中世2』平凡 社、1989年)・同『<悪口>という文化』(平凡社、2006年)を素材として、民俗学あるいは社会学に関する古典的論文をあらためて調査することを通じて、「悪口」に関する処罰のあり方に関する根本的な理解を問い直すための基礎的作業を進めることになった。 (3)研究分担者は、昨年度に引き続き、鎌倉から南北朝・室町期の武家および権門(主として東大寺)の裁判手続における入門(いりかど)あるいは覆勘の手続的な実態を解明するための作業を開始することになった。 (4)研究代表者および分担者は、作業の途中経過を互いに絶えず確認しながら、その成果を学術論文としてまとめるための準備を進めている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
昨年度においても反省点として記したが、本年度においても同様に、「悪口之咎」が問題となっている裁判手続において、少なくない関係史料の中でも断片的にしか残されていない訴陳状に関しても当該訴訟の争点を総合的に検討 する中で正確に分析する必要があるが、遺憾ながらその実証的な検討が思うように進んでいない。鎌倉幕府の裁判における覆勘に関しても、限られた史料からその手続的背景を理解することが未だ十分に出来ておらず、したがって、これまでの学説に対する反論を正確な根拠をもって示すためには、さらに緻密な検討作業が求められる。
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今後の研究の推進方策 |
本年度においても昨年度と同様に、例えば「悪口之咎」は、裁判所が採用したと理解されている「不論理非」の論理の適用事例の一つとして片付けることが果たして可能なのか、そこにはいかなる事実認定のあり方が潜んでいるのか、あるいは手続的判断が行われているとすれば、その実態とはいかなるものであるのか、研究分担者が新たに進行させている「覆勘」に関する詳細な理解ともあわせて、当該裁判手続の背景事情を踏まえた上で訴陳の実態を着実に明らかにしていく必要があると考えている。
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