研究課題/領域番号 |
19K01266
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分05010:基礎法学関連
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研究機関 | 青森中央学院大学 |
研究代表者 |
椎名 智彦 青森中央学院大学, 経営法学部, 准教授 (00438441)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2021年度)
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配分額 *注記 |
2,470千円 (直接経費: 1,900千円、間接経費: 570千円)
2021年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2020年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2019年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
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キーワード | 米国公法の継受 / プロセス法学 / 制度間対話 / 行政国家 / 民主主義 / 継受米国公法の暗黙的前提 / 法の客観性 / 法適用の予測可能性 / 民主主義と専門知 / 行政国家の権力分立観 / 特殊米国的統治構造観 / 司法審査の憲法内在的限界 / 基本法継受の実相 / 20世紀米国法思想 / 制度的適性 / 中立的原理 / 憲法判断回避 / 制度的対話 / 新プロセス法学 / 司法審査理論 / 熟議 / 米国憲法 |
研究開始時の研究の概要 |
一般国民,議会,行政機関,裁判所といった,法の成立や定着,変化に関わるアクターの役割や行動について,日本国憲法の基となった米国憲法における現状を,理論と実践の両面から分析し,統治の現代的変化を考察。法過程の動態分析に関する,米国等の先行研究を幅広く調査し,それを分かりやすくモデル化。また,国内外の研究者の意見も反映させて,より客観的な分析結果を目指す。このような研究は,例えば,訴訟の長期化や,社会的分断の深刻さなどについて,日米を比較する際の基準として役立つ。
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研究成果の概要 |
現代米国では,重要な争点が選挙や裁判を繰り返しながら長期的に議論され,やがて国民の間に一定の合意が形成される。この現象は,「制度間対話を通じた憲法規範の定着」と呼ばれる。本研究では,この社会的ダイナミズムを支える法学的基礎としてのプロセス法学について,その現代的展開および日本憲法学への影響などを明らかにした。制度間対話は,議会や裁判所といった法形成機関がもつ一定の客観的構造に依存する。議会でいえば定期的選挙や多数決主義等が,裁判所でいえば訴訟構造や既判力等がそれに該る。これらの客観的構造は,道徳的価値からは相対的に独立しているため,統治への国民参加を容易にする半面,紛争の長期化を助長する。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
日本が米国から継受した三権分立型の統治制度は,国会や裁判所といった諸機関がそれぞれの独自の役割を継続的に果たすことによって,社会の重要問題を解決し,国民に貢献すると想定されてきた。しかし,母国である米国では,憲法に定める基本原理が時として濫用され,紛争の長期化を助長することもある。これがシステムそのものの機能不全なのかどうかの判断は時期尚早であるが,選挙や訴訟の度に以前の争点が蒸し返されるような状況が,統治システムの在り方として健全なのかどうかは,真剣に検討してみる必要があろう。他方で,国民の統治参加を促進するという観点からは,米国憲政の現状には以前として学ぶ所がところが少なくない。
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