研究課題/領域番号 |
19K01270
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分05010:基礎法学関連
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研究機関 | 立命館大学 |
研究代表者 |
渡辺 千原 立命館大学, 法学部, 教授 (50309085)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
2021年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2020年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2019年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
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キーワード | 専門訴訟 / 法形成 / 医療事故 / 環境訴訟 / 専門的証拠 / 専門知 / 医療事故訴訟 / 裁判を通じた法形成 / 医療集中部 / 医療事故調査報告書 / 科学 / 訴訟による規範形成 / ADR / 専門的知見へのアクセス / 医療過誤訴訟 / 医療ADR / 訴訟を通じた法形成 / 家事事件訴訟 / 立法事実 / 高等裁判所 |
研究開始時の研究の概要 |
1.①「裁判による法創造」のための解釈方法、手続を含む諸理論の研究②知的財産・医療・家事関連訴訟での最近の裁判法理の展開と、専門知の活用の実態③アメリカやオーストラリアでの議論状況について文献研究を進め、理論的な到達点を明らかにする。 2.①知財高裁と知財事件の判例形成における専門家の関与と、最高裁と知財高裁での判断手法の違い、課題を整理する。医療訴訟・親子関係訴訟を中心に判例形成の実情についてのケーススタディを進める。訴訟資料の検討だけでなく、担当弁護士への聞き取りも行う。②裁判所での人的体制と、専門家関与・高等裁判所改革を中心とする制度改革に向けた手続や審級構造の検討を行う。
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研究実績の概要 |
専門訴訟としては、医療事故訴訟を対象にした検討を引き続き行っている。それに加えて,直接医療行為を対象とするわけではないが、医学的知見が判断に影響する、旧優生保護法関連や、性同一性障害特例法関連の訴訟において、判断を左右する医学的知見の内容や、その評価のあり方についての検討を始めたが、これらについて、研究業績として成果を出すには至っていない。 いわゆる「専門訴訟」としては分類されないが、科学的知見がその判断に大きく影響する、環境訴訟の要素を有する、諫早湾干拓訴訟における科学的知見の扱いについての事例研究を進めており、日本法社会学会のミニシンポジウムにて報告を行った。この内容について、まだ論文の形にはできていないため、引き続き研究を続けているところである。 そして、環境訴訟を含む専門訴訟における手続のあり方として検討を行ってきた、複数同時提出・口頭型の証拠提出方法である、コンカレント・エビデンス方式について、オーストラリアでの制度運用の実情調査を行った。この方式の日本での応用可能性について、改めて整理を行う予定である。 専門訴訟における法形成を支える手続要素を整備するだけでなく、人的体制を整えることも必須であることから、専門化が進むなかでの、法曹の専門性とそのプロフェッショナリズムのあり方についても検討を始めたところである。 全体として、成果としてまとまっていないものが多いため、2024年度における公表を目指している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
新型コロナ感染症流行の影響で、海外調査が全くできておらず、2023年に入ってからようやく着手した調査もあり、調査や文献研究はある程度進めてきたが、時間のかかる、それをもとに成果をまとめるところに進められていなかった。2024年度は、計画的に執筆活動に従事する予定である。 また、本調査は、最高裁や地裁だけでなく「高等裁判所」の役割に注目しているが、実際上は、その役割を抽出することが困難であり、結果として、最終審である最高裁判所、事実審としての地方裁判所に焦点が当たりがちであり、高等裁判所の役割に注目するためには、その研究目的に応じた方法論が必要であることに改めて思い至っている。
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今後の研究の推進方策 |
上述したように、すでに着手済みの研究については、情報収集と基本的な調査と方向性は定まってきたので、2024年度は執筆活動に注力する。 高等裁判所研究については、期間内に論文の形まで進めることには困難が想定されるが、医療事故訴訟や環境訴訟については、注目される最高裁判所の判断や事件について、高等裁判所が果たした役割に注目する形で、高等裁判所での判決行動や人的体制に着目した整理を試みる。 専門性の高い高等裁判所のモデルとなる知的高等裁判所については、開設20年を前に、一定の成果が集積してきているため、それらのレビューを進める。
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