研究課題/領域番号 |
19K01275
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分05020:公法学関連
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研究機関 | 山形大学 |
研究代表者 |
今野 健一 山形大学, 人文社会科学部, 教授 (70272086)
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研究分担者 |
高橋 早苗 仙台白百合女子大学, 人間学部, 教授 (90285685)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2021年度: 260千円 (直接経費: 200千円、間接経費: 60千円)
2020年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2019年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
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キーワード | レイシャル・プロファイリング / ストップ・アンド・フリスク / 市民的自由 / 犯罪リスク / ポリシング改革 / プラック・ライブズ・マター / 警察活動 / ブラック・ライブズ・マター / 犯罪率の上昇 / ヘイトクライム / 警察官装着カメラ / 憲法による市民的自由の保障 / テロ・犯罪対策 / ムスリム市民の監視 / トランプ政権 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、2001年9月11日の同時多発テロ事件以降のアメリカ合衆国を対象とし、人種的・宗教的な警察取締り政策(特にニューヨーク市およびニューヨーク市警察本部〔NYPD〕の政策。レイシャル・プロファイリングと呼ばれることがある)の憲法上の問題点を考察することを主眼とするものである。本研究では、テロの未然予防を目的とする取締り・監視政策がアラブ系・南アジア系市民の市民的自由に与えるダメージの実態を精査し、治安維持に偏重した施策や組織のあり方を批判的に検討する。また、特に地域コミュニティと警察活動との関係に注目し、トランプ政権下で一層社会的分断の進むアメリカ社会の変動を観察しかつ分析する。
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研究成果の概要 |
合衆国憲法による市民的自由の保障の観点から、特にニューヨーク市警察本部(NYPD)のポリシングの問題性に注目し、ストップ・アンド・フリスク(stop-and-frisk)の極端な実行というNYPDの政策を正面から違憲と断じた2013年のFloyd訴訟連邦地裁判決を取り上げ、その画期的な意義を明らかにした。また、連邦地裁は同時に、モニターを通じたNYPDの抜本的改革を命じており、NYPDの政策、訓練、監督、モニタリング、懲戒について是正が図られる一方で、地域コミュニティとの協働による是正プロセスも進められるなど、現在も進行中の改革の全体像を明らかにした。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
NYPDの、犯罪減少に寄与したとされるポリシングが、人種的マイノリティの日常生活を著しく損なうものであることに注意を喚起する立場から、本研究では、2013年のFloyd訴訟連邦地裁判決を取り上げ、NYPDのポリシングが、合衆国憲法の保障する市民的自由をどれほど毀損するものとなってきたかを分析した。人種に着目した不当な取締り活動はレイシャル・プロファイリング(Racial Profiling)として悪名高いが、日本でこれを本格的に分析した業績は乏しく、一方で、最近の日本でも警察取締りがレイシャル・プロファイリングではないかとして問題化している。その点で、本研究は一定の社会的意義をもち得る。
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