研究課題/領域番号 |
19K01283
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分05020:公法学関連
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研究機関 | 東京都立大学 |
研究代表者 |
富井 幸雄 東京都立大学, 法学政治学研究科, 教授 (90286922)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2023年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2022年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2021年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2020年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2019年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
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キーワード | 条約の終了 / 行政協定 / ソフトロー / 条約法に関するウィーン条約 / 対外関係法 / 権力分立 / アメリカ憲法 / 行政訴訟 / 制定法解釈 / 国際慣習法 / 確立された国際法規 / 条約の概念 / 外交関係法 / 執行権 / 外務法 / 司法審査制 / 憲法と国際法 / ゴーサッチ / 司法審査 / シェブロン法理 / 敬譲 / 外交 / 安全保障 / 安全保障法 / アメリカ大統領 |
研究開始時の研究の概要 |
外交が憲法でどのようにとらえられるのか。憲法は行政権の統制に関心を払っているなら外交への立憲的統制もきちんと論じられなければならない。この点、アメリカ憲法は議論の蓄積があり、これを分析し検討する。そしてこの成果をベースにして日本国憲法での外交とめぐる憲法問題の論点と議論の枠組みを整理していく。
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研究実績の概要 |
外交に関して立憲的統制はどう考えるべきかをアメリカの対外関係法(FRL)の議論をもとに研究する。外交は執行権の専権の部分が大きいが、そこに立法や司法はどう絡むか、統制の契機はいかにあるべきかを研究する。本年度は国家の国際法形成に関する立憲的統制を研究し、特に条約のそれについて、日本国憲法では議論が置き去りにされてきた以下の3点の問題をFRLではどう議論されているかを研究した。第1に、条約は憲法上手続や権限が明記されているが、それが煩雑なこともあって、実際には憲法に規定のない行政協定で国家間の法的取り決めがなされているのに着目し、日本では大平ドクトリンでさらりと処理されているが、FRLでは憲法上権力分立をからめて深い議論がなされている。アメリカ憲法では規定がないものの行政協定は憲法上認められている。大統領単独から議会の事前事後の承認を得るものまで多様であり、それに対応して条約と同じような効力が認められる。それが歴史的実務的に形成されてきたことを指摘する。第2に、同様に日米両国の憲法に規定されていない条約の終了について、議会と執行権の相克を研究した。日本では法的議論はそれほどなされていないが、アメリカでは権力分立の議論で、憲法が規定する締結と同様に終了にも上院の承認が必要とする議会権説と大統領のみで可能とする説の対立があり、後者が通説であるも、その統制は憲法学的に煮詰めていかなければならないと考察する。第3に憲法に規定はないけれども、行政協定同様、主要な国家間の取り決めになっている非拘束的協定(ソフトロー)の憲法問題を指摘する。その国際法上の位置付けもにらみソフトローで重要な事項が交わされているのを確認しながら、憲法上は執行権だけで締結されるも議会の統制が強化され、議会の同意を得たものや履行法を必要とするものなど、立憲的統制の道も考究されており、立憲的意義を見いだすものである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
約3年にわたるコロナ禍の影響で、アメリカでの在外研究ができず、ほぼ1年あまり計画が後倒しになっており、FRLについて連邦制と外務について研究が進められていなければならないところ、着手できないでいる。一方で条約をめぐる問題に質量ともにおおくの議論があり、そこを避けて本研究を遂行することは不可能と考え、条約に習熟し時間を割くことになっている。そんななか、2022年度は2年半ぶりにアメリカでの数週間の在外研究ができたが、条約の終了の研究にとどまらざるを得なかった。文献研究もそれに付随するにとどまる。また大学の学務で管理職になり、本研究の時間配分にも少なからず影響した。
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今後の研究の推進方策 |
条約について日本国憲法で論じられていない問題として、条約の解釈があり、これをFRLでの議論を研究することで、わが国の公法学に問題提起したい。これを論文にまとめる。また、連邦制と外交に関してFRLでの議論をすすめる。連邦制はわが国の憲法学には比較の対象にならないけれども、外務に関する憲法上の制約の視点を考えるのに、またFRLの重要な論でもあり、本研究には不可欠である。方法としては文献と、さらにコロナの状況等で確実ではないけれども、アメリカでの数週間の在外研究を行う。
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