研究課題/領域番号 |
19K01284
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分05020:公法学関連
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研究機関 | 大阪公立大学 (2022-2023) 大阪市立大学 (2019-2021) |
研究代表者 |
重本 達哉 大阪公立大学, 大学院法学研究科, 准教授 (60584042)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
2021年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2020年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2019年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
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キーワード | 行政代執行 / 行政上の強制執行 / 行政上の義務履行確保 / 費用負担 / 法執行 / ドイツ法 |
研究開始時の研究の概要 |
空き家対策の一環として最近ニュースに取り上げられることもある行政代執行は、取壊し義務などを課せられた市民(義務者)が自発的にその義務を履行しない場合に、行政側が代わりにその義務を実現することと引換えに、実現にかかった費用を義務者の財産から強制的に徴収するという制度である。だが、その「費用」としてどのような費目を計上できるかについて、不明な点が実は少なくない。そこで、類似の制度を有し、かつ、わが国よりも議論の蓄積が認められるドイツの判決・学説などを詳細に分析・比較することにより、わが国における行政代執行「費用」の徴収可能範囲及びその正当化根拠をできる限り解明する。これが本研究の目的である。
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研究実績の概要 |
今年度もまた、昨年度に引き続き、「行政代執行」に関するわが国の最新文献ないし基礎的な文献等の分析に加えて、ドイツにおける「代執行」に係る基本文献等の分析に努めた。その結果、公権力の担い手に対する行政上の強制執行に係る諸論点、ドイツにおける公法上の埋葬義務と埋葬費用負担義務との関係に比例原則が適用され得ることなどについて、従前得た知見を実証的に再確認することができた。わが国における「行政代執行」又はドイツにおける「代執行」の「費用」に係る論点の詳細も確認するに至っている。しかしながら、主としてコロナ禍の余波により、文献収集の詰めの段階に支障が生じ、直接的な研究成果の発表までには至らなかった。 とりわけ、墓地埋葬法・水法をはじめ、関連する個別法を適宜参照しながら、微妙に異なるドイツ全16州における一般行政執行法を可能な限り悉皆的に分析し、その分析結果を前提としつつ、当該判例又は学説を丹念に整理することによって、ドイツにおける代執行の「費用」の徴収可能範囲及びその正当化根拠を可能な限り明らかにし、それらを手掛かりに、終局的にはわが国における行政代執行「費用」の徴収可能範囲及びその正当化根拠をできる限り解明しようという本研究の目的からすれば、日独双方の広範囲に及ぶ資料収集作業が極めて望まれるものの、その観点に基づく作業はあまり実現することがかなわなかったため、その他の諸事情も考慮に入れて、やむを得ず、補助事業期間の再々延長申請を認容してもらうこととなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
わが国における行政代執行等に関する研究には少なからぬ進展が見受けられるため、今年度も引き続き、基礎的文献の分析に注力することを予定し、その点に大きな遅れは認められなかったものの、コロナ禍の余波により、その他の関連文献の収集活動には少なからぬ支障が生じているため。
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今後の研究の推進方策 |
ドイツにおける代執行に係る基本文献の収集は相当程度進んでいるので、昨年度に引き続き、これをさらに分析するとともに、研究成果として多少なりとも公表する作業を加速させることが必要不可欠であろう。ただし、ドイツ全16州を可能な限り網羅的に分析するという観点にはかなりの無理が生じているため、この点の戦線縮小はやむを得ないように思われる。
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