研究課題/領域番号 |
19K01288
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分05020:公法学関連
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研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
長谷部 恭男 早稲田大学, 法学学術院(法務研究科・法務教育研究センター), 教授 (80126143)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2022年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2021年度: 260千円 (直接経費: 200千円、間接経費: 60千円)
2020年度: 260千円 (直接経費: 200千円、間接経費: 60千円)
2019年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
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キーワード | 君主制原理 / 国家法人理論 / 人民主権原理 / 天皇主権原理 / 国民主権原理 / 緊急事態 / 憲法制定権力 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は君主制原理、つまり国家の全統治権限は本来的に君主に帰属するが、その具体的行使にあたっては、君主自身の定めた憲法に従うという法原理の思想的淵源を探るとともに、その現代的意義を検討するものである。君主制原理は、フランス1814年シャルトにおいて定式化され、バイエルン、バーデン、プロイセン等のドイツ諸邦を経て、大日本帝国憲法へと継受された。その影響は旧憲法下の諸制度、諸学説にとどまらず、国民主権原理に立脚する現憲法の下でも広く及んでいる。いまだ広くは認識されていない君主制原理の現代諸国家での意義と機能を明らかにされるものと考えている。
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研究成果の概要 |
本研究では、先行する筆者の研究に引き続き、君主制原理の核心的理論と、それから派生するさまざまな制度や法理を分析した。君主制原理は、国家の全統治権を君主が本来掌握していること、しかしその実際の行使にあたっては、君主自らが定めた憲法にしたがって行使することを意味する。大日本帝国憲法4条の「天皇は国の元首にして統治権を総攬し此の憲法の条規に依り之を行ふ」という規定は、君主制原理を明確に規定している。 本研究では、君主制原理の理論的核心を改めて日本およびヨーロッパ各国の歴史に照らして確認するとともに、君主制原理と国家法人理論および人民主権原理との相剋を理論と実践の両面にわたって分析した。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
カントの法治国理論を淵源とし、日本へは美濃部達吉等によって継受された国家法人理論が、君主制原理(天皇主権原理)とは両立不可能であり、そのため天皇機関説事件を契機に、激しく攻撃されたこと、美濃部の継受した国家法人理論は、宮沢俊義等の後の世代には正しく伝えられることがなく、いわば奇形の法理や制度像として現代の教科書類にはあらわれること、宮沢の理論は必ずしも美濃部の理論より「進化」しているとは言い難いこと等を指摘した。また、旧憲法下における天皇制と現憲法下における天皇制の原理的な違いを浮き彫りにし、類似の制度であっても全く異なる意義を用いることを指摘した。
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