研究課題/領域番号 |
19K01289
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分05020:公法学関連
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研究機関 | 千葉大学 (2022) 中京大学 (2019-2021) |
研究代表者 |
手塚 崇聡 千葉大学, 大学院社会科学研究院, 教授 (30582621)
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研究分担者 |
大林 啓吾 慶應義塾大学, 法学部(三田), 教授 (70453694)
白水 隆 千葉大学, 大学院社会科学研究院, 准教授 (70635036)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2021年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2020年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2019年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | 公法学 / 憲法学 / カナダ憲法 / アメリカ憲法 / 生ける樹理論 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、日本における近時の憲法改正の議論状況を踏まえ、政治部門の憲法解釈による事実上の憲法改正に焦点を当て、その是非を検討するものである。時代の変化に応じた憲法の対応には、①憲法典そのものを改正する憲法改正と、②政治部門の憲法解釈の変更により、事実上の憲法改正を行うという選択肢があり得る。しかし後者は、これまで憲法変遷の問題として議論されてきたため、近時の憲法学界においてあまり活発な議論の対象となっていない。そこで本研究では、アメリカの生ける憲法やカナダの生ける樹などの理論を中心に比較法的考察を踏まえながら政治部門の事実上の憲法改正について考察し、その限界を検討する。
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研究成果の概要 |
本研究は、政治部門による非公式な(事実上の)憲法改正を解明し、その司法審査のあり方について分析することを目的とした。憲法改正手続は厳格であることが多く、政治部門は正式な憲法改正ではなく、憲法構築を通じて憲法価値を実現することがある。このような非公式な憲法改正は社会の変化に対応しやすいといえるが、調査の結果、日本、アメリカ、カナダにおいて実際にそれが行われていることが明らかとなった。また一部には強引な手法による憲法改正が行われた例もあり、政治部門がこの手法を濫用すれば、憲法体制が崩壊する恐れがあることから、司法は恣意的かつ過剰な事実上の憲法改正については合憲性を審査するべきであることを指摘した。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
従来日本では、政治部門による事実上の憲法改正に関しては、その意義が不明確であり、また憲法変遷の問題として議論され、無限界に容認する可能性があった。また日本の議論では、特定の条文に関わる極めて限定された内容で行われている状況が少なからずあった。本研究による成果は、こうした議論状況に対して、まず政治部門による事実上の憲法改正について、特定の条項だけではなく、広く動態的に憲法秩序や、憲法の基本構造として捉えることが可能であること、そしてそれらが、事実上の憲法改正の限界を画定するための分析視角となることを示すことができた点にある。
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