研究課題/領域番号 |
19K01309
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分05020:公法学関連
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研究機関 | 中村学園大学短期大学部 |
研究代表者 |
橋本 一雄 中村学園大学短期大学部, 幼児保育学科, 准教授 (30455084)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
2021年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2020年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2019年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
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キーワード | 移民 / 学力と就職率 / 教育の平等 / 学力格差 / 社会統合 / 多文化共生 / ライシテ / 教育の自由 / 社会的平等 / 平等 / 市民教育 / 社会階層の連鎖 / アファーマティブ・アクション |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、戦後フランスの移民政策の結果、移民第二世代においては非移民を凌ぐ学力層が一定程度出現するようになった一方、移民-非移民間には厳然たる就業率格差が存在しているという現状に焦点を当て、移民第二世代の学業成功の状況と就業状況等を調査・分析することを通じて、移民第二世代の就業率格差の要因を解明することにある。 移民に関する統計データと独自に実施する調査結果等を分析し、移民第二世代の学力の向上が必ずしも就業率の向上へとは結びついていない現状を明らかにしたうえで、平等原則を憲法原則として掲げるフランスにおいて、移民に対する就業差別を生起させる要因を解明し、その解決のための方策を探る。
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研究実績の概要 |
2022年度前半まではコロナ禍の影響で渡仏調査が実施できず主にWEBを介して取得・入手できる資料・情報等にもとづいて大部分の研究を進めてきたが、後半期には渡仏調査を実施することができたため、本研究課題で当初予定していたインタビューの実施及び資料・文献等の入手を進めることができた。入手した資料・文献には、フランスの教育法典の改正状況やイスラム系移民の処遇を分析した新たな論稿・解説書等も含まれており、帰国後にその精読・分析等を進めた。 当年度の研究成果としては、フランスにおける義務教育開始年齢の引き下げに関する論稿として、1本の論稿を書籍の分担執筆として寄稿した。フランスにおいて義務教育開始年齢の引き下げは2019年の9月から施行されているが、その趣旨は、保育学校に就学しない3歳児の保育学校への就学を義務づけ、当該未就学児が集住する「郊外」地域との教育格差を是正することにある。フランスにおいて3~5歳児ではほぼ100%に達する保育学校への就学率も、とりわけ3歳児においてわずかにその率は欠損しているのが現状である。義務教育開始年齢引き下げが学力格差の是正及びすべての児童生徒に対する学業成功の達成を目的とした政策であることは、本研究課題を進めるうえでも示唆的である。 併せて、本研究課題の計画段階では想定していなかったコロナ禍の中、すでに顕在化していたフランスの学力格差や就職格差がどのように推移したのかを分析するための資料・情報等を現地でのインタビュー調査等を通じて入手することもできたという収穫もあった。 特に、教育政策としては、日常での使用言語がフランス語ではない児童生徒への登校への配慮がなされていたことなど、学力格差を拡大させないためのきめ細やかな各種取り組みの実態を把握することができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
コロナ禍の影響により、2022年度前半までは渡仏しての現地調査ができなかったものの、同後半期(2023年2月)に遅れていた現地調査を実施することができた。当該現地調査によって本研究課題で予定していた現地でのインタビューや資料・文献等の収集を概ね行うことができたため、2022年度末からその整理・精読等を進め、遅れを取り戻しつつある。 こうした状況を踏まえ、現在までの研究の進捗としてはやや遅れていると総括する。
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今後の研究の推進方策 |
2023年度は、前年度に収集した資料・文献等を整理・精読し、本研究課題の総括として、研究報告(口頭発表)を行うと共に、雑誌等に投稿する論文を執筆する予定である。その前段階として、前年度の現地調査で収集した文献等にもとづき、ここ数年の教育法典の改正状況を整理する作業に臨んでいる。 併せて、フランスの学生の就職状況については、コロナ禍という特殊事情を考慮する必要があるため、在仏の関係者に対しオンライン又はメール等によって聞き取り等を行い、2023年度末までに本研究課題を総括する成果をまとめる予定である。
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