研究課題/領域番号 |
19K01314
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分05030:国際法学関連
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
岩本 禎之 (李禎之) 岡山大学, 社会文化科学学域, 教授 (20405567)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
3,900千円 (直接経費: 3,000千円、間接経費: 900千円)
2022年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2021年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2020年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2019年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
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キーワード | 国際司法裁判所 / 宣言判決 / 司法的救済 / 国際裁判 / 満足 / 行為命令 / 国家責任 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、国際裁判所が判決において当事国に「何を」与え得るのか(司法的救済)に着目することで、国際裁判所判決が国家間関係に如何なる影響を与え得るのか、そして、如何にして現実の紛争を解決に至らしめるのか、という学術的問いを考察する。司法的救済のあり方は当該裁判所の機能理解を反映するため、各裁判所実行の検討が不可欠であり、本研究は主たる救済方法である「宣言判決」を対象として、徹底した判例分析を行う。
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研究実績の概要 |
2022年度は前年度に引き続き「救済方法の選択法理」について検討を行い、救済選択に対する当事国意思の影響という視点から分析を進めた。救済方法選択の原則は、第一義的には原告国の意思(国家責任条文第43条2項)に依存するが、本研究では救済に関する被告国の履行裁量について検討を行った。 国際司法裁判所の先例によると、裁判所が救済における履行裁量(「自ら選ぶ方法で」)を被告国に認める実行が、国内法や国内措置の改廃といった国内実施が必要となる場合に確認できる(逮捕状事件、主権的権利等の侵害事件(ニカラグア対コロンビア))。確かにラグラン事件やアベナ事件も米国における条約の「自動執行性(self-executing)」概念の特殊性に起因している面はあるが、履行手段の選択が各国国内法制に依存していることは変わりがない。そのため、被告国の救済選択の判断を巡っては各国の国内法制度や国内政治状況を考慮する必要があることが明らかとなる。とりわけ、主権免除事件(ドイツ対イタリア)では国内法制上の問題に加えて、免除規則と人権保護との衝突という価値判断の問題が国際法と憲法の齟齬という次元で把握されている。そこで本研究は判決外在的な要素を加味するコンプライアンス理論に依拠しつつ、救済選択に関する被告国の裁量が宣言判決の履行を誘引し得る条件の整理を行った。 また、領域紛争にかかる問題(2021年度)について、コスタリカとニカラグアとの紛争に着目して「国際紛争平和的処理手続きによる紛争制御の試み―コスタリカの例」と題する論稿を公表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
新型コロナウイルス感染症の影響により分析を予定していた事件の進捗が遅れていることに加え、ウクライナ危機に関連して新たに分析すべき事案が発生しており、当初予定から若干遅れている。 ただし、研究成果については概ね予定通り、公表を行うことができた。
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今後の研究の推進方策 |
領域紛争および履行裁量を含む「救済に対する当事国意思の尊重」と判決履行の関係について調査・分析を完了させ、成果をまとめる。なお、判決不履行に関する研究報告を2023年度の国際法学会研究大会にて実施する予定である。
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