研究課題/領域番号 |
19K01315
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分05030:国際法学関連
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
明石 欽司 九州大学, 法学研究院, 教授 (00288242)
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研究分担者 |
小栗 寛史 岡山大学, 社会文化科学学域, 講師 (80837419)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2022年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2021年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2020年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2019年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
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キーワード | 国際法史 / 主権 / 国家主権 / ヴァッテル / ボダン / 神聖ローマ帝国 |
研究開始時の研究の概要 |
主権観念は国際法学のみではなく国家構成理論としても論じられてきたが、主権の属性が自然人から抽象的人格である国家へと転換すると同時に、「主権者」から観念的に分離される「国家主権」という国際法学の基底にある観念が誕生することになった。この観念的分離を含め、16世紀以降の近代国際法の形成過程における主権観念の成立史は、同観念が近代及び現代国際法学の前提として共有されているにも拘らず、現在に至るまで十分に研究されてこなかった。以上に鑑み、本研究は、国際法学における基礎的な観念の一つである「主権」が近代国際法(学)において成立する過程を国際法史及び政治思想史の観点から問い直すことを目的とするものである。
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研究実績の概要 |
本年度は、国際法学における主権概念の検討を定量的な観点から実施した。具体的には、本研究が検討対象とする時代に締結された諸条約を題材として、それら条約において「主権」とその類似概念がどのように規定されているかを明らかにし、それらを類型化することを試みた。 その結果として得られたのは次のような事実である。即ち、独仏間条約において「主権」が使用される例はナポレオン戦争期までの諸文書におけるものが多数を占め、ドイツ諸邦間の条約において「主権」が単独で使用される例は殆どがナポレオン戦争期中のものである。両者間の相異は、前者ではアンシャンレジーム期から用例が存在しているのに対して、後者ではナポレンオン戦争期中のみの用例が殆どである点にある。また、ヴィーン会議以後(同会議関連の諸条約を除く。)の文書に着目すると、独仏間条約における「主権」の用例は全て境界画定に関連するものであるのに対して、ドイツ諸邦間の条約では「支配権」観念の用例が引き続き登場している。以上のことから、独仏間条約における「主権」観念はアンシャンレジーム期からナポレオン戦争期まで多様な使用例が見られたのに対して、ヴィーン会議以後は境界画定条約という「領域主権」の観念と強く関係する文書の中で使用されるようになる傾向が看取された。そして、その間ドイツ諸邦間の条約においては帝国国制上の複数の「支配権」観念が使用され続けている。つまり、アンシャンレジーム期・ナポレオン戦争期の仏独間条約において「主権」は必ずしも単一の包括的観念として使用されておらず、ドイツ内ではフランス語の「主権」が19世紀後半に至るまで一般的に受容されてはいなかったと解される。そして、このことは19世紀後半に至るまでの「主権」観念の内実がフランス(語圏)とドイツ(語圏)の間で異なるものであったことを示しているという点を明らかにした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
史料収集や研究成果の公表のための海外出張が依然として制限的な状況であったため、当初の予定から遅れているといえる。
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今後の研究の推進方策 |
昨年度が本来は最終年度であったが、上記の理由から研究の進展に遅れが生じているため、補助期間を1年間延長し、本来であれば昨年度実施する予定であった、これまでの研究成果の統合とその公表に向けて研究を進めていく。
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